高校生提案、海岸の漂着物回収10年 全国から参加者1000人超

山陰海岸国立公園エリアにある兵庫最北の猫崎(ねこざき)半島(兵庫県豊岡市竹野町)で、地元の高校生たちが呼び掛ける漂着物の定期回収活動が3月21日、10回の節目を迎え、各地からの参加者数が延べ1000人を超えた。参加者は約30人の初回から徐々に増え、近年は各回200人ほどになっている。【浜本年弘】
呼び掛けてきたのはさまざまなボランティア活動に取り組んでいる県立豊岡総合高校インターアクトクラブ(IAC)。2010年度の創部当時から各地の海岸で夏場にも回収に取り組み、11年度から始めた3月の回収は徐々に拡大。コロナ禍で中止した19年度を除き10年10回で延べ約1150人が活動した。
21日は豊岡、丹波篠山、神戸、芦屋、尼崎、東京などから小中高生と社会人半々の計約190人が、海岸に散乱する漂着物計約20立方メートルを回収した。
ペットボトル、空き缶、空き瓶、包装袋、廃材のほか、今回は注射器も約200本あった。ロープや漁網、ブイなどの漁具も目立ち、日陰では絡まった海藻で悪臭が漂う。粉々の発泡スチロールは回収作業で特に難物だ。
神戸市須磨区の滝川中学・高校IAC顧問、福山太一教諭(47)と生徒は、持参の蓄電池式吸引機を使ったが、度々詰まった。小型スコップですくっていた初参加の豊岡総合高校2年の田中優羽(ゆう)さんは「漂着物の多さにびっくりした。作業は腰が痛くなるほど。一人一人の心がけが大切だと思った」と話す。
定期回収している海岸は、環境省竹野自然保護官事務所によると、半島北部の国立公園特別保護地区に次いで保護規制が厳しい国立公園第1種特別地域。冬の季節風などで漂着物がたまるポイントで、住民と相談して活動の場に選ばれた。回収に参加した「たけの観光協会」会長、青山治重さん(75)によると、住民は半島東側に位置する日本の渚(なぎさ)100選の砂浜、竹野浜海岸などで主に活動。半島南西部では拾った漂着物を抱えて、高低差10メートルを超える急勾配の行き来が必要で、若い世代への期待は大きい。
21日の参加グループは約20団体に及び、各地の高校IACに加え、市民団体や地元企業などが回を重ねるケースが多い。
豊岡総合高校IAC顧問の岩本敏浩教諭(58)は活動スタイルについて、個人参加もあるが「班分けなし、班長なし」の即興的な共同作業が基本形という。環境教育、消費者教育、社会貢献の実践を掲げる現場は「知らない者同士が声を掛け合って協力して、目に見えて海岸が奇麗になって、達成感が味わえる。人が集まる面白さはそこかもしれない」とみる。
同校IAC会長の3年、寺尾凜さんは「さまざまな人と話をして、それぞれの幅広い活動はとても勉強になる。助け合って活動を続けていきたい」と話した。