日本共産党の志位和夫委員長が7日、党本部での会合で、次のような発言をしたという報道があった。
「万が一、急迫不正の主権侵害が起きた場合には、自衛隊を含むあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守り抜くのが党の立場だ」
自衛隊に対して、あまりにも「無礼な発言」だといってよい。自衛隊は国民を守る「手段」だという表現から、自衛隊への敬意を微塵(みじん)も感じることはできない。日夜国防のために汗を流している方々を、「手段」呼ばわりするとは傲慢の極みだろう。
また、共産党は自衛隊を違憲の存在と位置付けている。違憲の存在は許してはならないと考えるのが立憲主義の基本である。仮に、自衛隊が違憲の存在であるならば、自衛隊の存在を否定しなければ立憲主義は守れない。違憲の存在であっても党の解釈次第で存在が許されるというのであれば、立憲主義は成り立たない。
立憲主義を掲げる立憲民主党が、こうした立憲主義を軽視する共産党と手を携えていこうというならば、それは悪い冗談でしかないだろう。
また、志位氏は憲法9条に関して、次のようにも述べたという。
「無抵抗主義ではなく、個別的自衛権は存在している」
無抵抗主義を否定し、「個別的自衛権は存在している」というが、自衛隊違憲論に立つならば、一体誰がわが国を守るというのだろうか。わが国に個別的自衛権が存在するのは自明のことだが、祖国を守るために闘う人々がいなければ、国防は成り立たない。祖国を守る自衛隊を違憲の存在と痛罵し、「段階的解消」を唱えている共産党が「個別的自衛権は存在している」などと唱えても、空念仏のようにしか聞こえない。
立憲民主党の泉健太代表は8日、志位氏の発言を受けて、次のように語った。
「国防において自衛隊や日米安保は国民共通の前提だという認識を多くの人が持っていることを、共産党も踏まえつつあるのではないかと感じる」
「(共産党も)明確に、自衛隊は合憲だという理解をしてもよいのではないか」
あまりにも楽観的な解釈だ。共産党は党の綱領で明確に自衛隊を違憲の存在と位置づけ、「自衛隊解消」と「日米安保条約の廃棄」を掲げている。そう簡単に見解を修正できるものではない。
ロシアのウクライナ侵攻を受け、「平和憲法」という幻想が崩壊しつつある現在、必要なのは確かな安全保障政策だ。わが国の平和を現実的に維持していくためになすべきことは何かを真剣に模索すべきときに、共産党の主張する「自衛隊違憲論」「日米安保廃棄論」では話にならない。
立憲主義を守り抜くためにも自衛隊を堂々と憲法に明記すべきときだ。憲法改正こそが必要だ。
=おわり
■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。大和大学准教授などを経て、現在、一般社団法人日本歴史探究会代表理事。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。