フリマアプリも高齢化? 2年で30倍に増えたシニアユーザー 見えてきた「意外」な利用方法

今、フリマアプリが新たなユーザー層の取り込みを進めている。それが「シニア」だ。メルカリを中心に、主に若年層の女性が利用しているイメージのあるフリマアプリだが、どういった変化が起こっているのだろうか。

楽天が展開する「ラクマ」では、60代~90代のシニアユーザーの新規登録者数が2016年から18年にかけて、約30倍にも増えている。伸び率の最も高かった70代に絞ると、およそ50倍。90代でも28.5倍と、猛烈な勢いでシニアユーザーが増えている状況だ。

こうした状況を生かそうと、同社はシニア向け雑誌を手掛けるハルメク(東京都新宿区)とタッグを組み、ラクマのセミナーを企画。「スマホで不用品をすっきり フリマアプリ講座」と称し、前後編全2回のプログラムを実施する。

筆者が参加した前編では、フリマアプリの概略からアプリのインストール、楽天への会員登録、また商品の探し方や具体的な出品の方法までがレクチャーされた。後編では、商品が売れた後の手続きなどを教えていくという。参加者はアクセサリーや洋服など「出品したいもの」を各自1、2点持参。その場で実際に出品し、中には出品からわずか数秒で売れた人もいた。

高まるシニアのITリテラシー
セミナーの参加者は50代以上の女性限定で、定員30名。全員がフリマアプリを使ったことのない「未経験者」だったが、ITに関するリテラシーは高い。会場はほぼ満席状態で、多くの参加者がいわゆる「ケータイ」ではなく、iPhoneやAndroidスマホを駆使。ある参加者に話を聞いたところ、「普段スマホは家族との連絡や写真撮影、インターネット検索などに使っている」という。一方で「お金の絡むサービスは何となく怖いので使ったことがなかった」とのこと。今回のセミナーに関しては「フリマアプリにはもともと興味があった。その一方でなかなか1歩目を踏み出すことができなかったので良いきっかけ」と話す。このように、多くの人が子どもや孫に「持たされた」のではなく、日常生活でスマホを使いこなしている。

実際に、メルカリが3月に発表した「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する調査では、60代以上のフリマアプリユーザーの61.7%が「インターネットやWEBサービスを使いこなしている」と回答。20代における同回答は61.4%であり、シニアのITリテラシーは20代と同等にまで高まっているともいえる。

シニア向けのセミナーは、メルカリも開催している。メルカリでは、17年から18年にかけて50代以上のユーザーがおよそ60%増加。中でも「終活・生前整理」というキーワードでの出品が増えている。そこで、近畿日本ツーリストグループとタッグを結成。9月に、シニア人気が高い「クラブツーリズム」が開催するイベント内でメルカリ教室を開催したところ、定員を上回る数の応募があった。急きょ教室を増設するとともに、10月以降も定期的に教室を開催するという。

シニアは「モノを買っていた世代」
楽天の広報担当者は「シニアはモノを買っていた世代」と話す。ユーザーのボリュームゾーンはやはり10代~30代の若年層だが、家に眠る不用品の数はシニアの方が圧倒的に多いと考えている。

シニアユーザーが増えつつあることについては「家にある不用品の売買がメイン」(担当者)と分析する。同社が18年12月に発表したシニアユーザーの実態調査では、出品の人気ランキングを発表。10代、20代では「アイドルグッズ」や「ミュージシャングッズ」「トレーディングカード」など転売目的のような商品が目立っている。一方、60代、70代では「ネックレス」「陶芸品」「食器」など、家に眠っている不用品の出品が多い傾向にある。

同調査では、購入での人気カテゴリーも発表。こちらでは意外なニーズが見えてきている。それが「食品」だ。60代が購入するカテゴリーで人気1位が食品だった。2位はキャラクターグッズ、トートバッグと続く。70代のランキングでも食品は2位にランクイン。10代、20代ではともに1位がアイドルグッズであり、以降の5位までにも食品はランクインしていない。この結果について担当者は「調査してみて出てきた意外なデータ。農家や水産業者などの生産者がB級品などの販路として新たなチャネルを開拓しているのも背景にあるのでは」と話す。

このように、シニアの予想外の利用方法も見えてきたが、課題は依然として存在する。「シニアは迷惑メールや悪質なDMなどの影響で、アカウントを作ること自体に抵抗を感じる人も多い」(担当者)。なお、実際にアプリに登録することでメールなどが届くことはないとのこと。

シニアが使う上で気になる「UI」については「開発時点で若い人からシニアまでが直感的に使えるように考えていた」と自信を持っている。今後は、発送手段を増やしたり、シニアに人気の商品カテゴリーをプッシュしたりしていくことでさらなるシニアユーザーの増加を狙う。セミナーの定期開催などは、今回の反響などを見て検討するという。