世界遺産の草木を勝手に伐採 ルアー釣りの聖地でやらかした「釣りバカ」の呆れた言い訳

「誰も釣ったことがない場所で釣りをしたかった。GTを釣るために生きている。この夢をかなえるためなら死んでもいいと思った」
「釣りバカ」2人は最大1.8メートル、「GT(ジャイアントトレバリー」と呼ばれる巨大魚「ロウニンアジ」を釣るために、立ち入りが禁止された特別保護地域に入って島の貴重な自然を傷つけ、穴場に向かう「道」をつくっていた。
世界遺産に登録されている小笠原諸島・母島の国立公園内で、許可なく木や草を伐採したとして、同島在住のペンション従業員(28)と土木作業員(25)が18日、自然公園法違反の疑いで警視庁生活環境課に書類送検された。
■240メートルの道を勝手につくる
2人は通常ではたどり着けない海岸ならば、大物を釣れると考え、昨年9月8日と12日、島北部の森林に無断で侵入。ノコギリやなたを使って「オガサワラビロウ」や環境省のレッドリストで絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている「ヒメフトモモ」など固有種を含む9種類17本を次々と刈り、山道から海岸に抜ける道を約240メートルつくった。
「2人が分け入ったのはジャングルのようなところで、人通りもまったくなかった。森の中で迷わないようにGPSを使い、一部の木にロープをくくりつけ、それを伝って森の奥へ奥へと進んでいった」(捜査事情通)
9月16日、植物の損傷に気付いた現地ガイドが都に連絡し、発覚。10月5日に捜査員と都の職員が調査に入り、本人たちに確認したところ、最初は否認していたが、村民に「オレがやっちゃったんだ」と漏らしていたことが判明した。特別保護地区内では、動植物の採取や捕獲が厳しく規制されている。
母島はルアー釣りをする人にとって「聖地」とされ、珍しい魚が釣れることから釣り目的の来島者も多い。送検された2人も釣り仲間で、釣り好きが高じて2、3年前に島に移住してきた。島で主に釣れるのはアジやカンパチなどで、ロウニンアジはアジとはまったく味が違い、うま味が強いとされるが、大型のものは毒を持っている可能性があり、食用にされない。
地元関係者がこう話す。
「びっくりしているのと同時に呆れ返っている島民も多いですね。島の宿泊施設で働きながら、植物を勝手に伐採してはいけないことも知らなかったのか。かつてはそういう釣り人もいたが、世界遺産に登録されてからはそれもなくなりつつあった。特別保護区に入るには事前に都や村に申請が必要です。他人の庭に勝手に立ち入り、荒らすようなものです」
母島の人口は459人で20代の若者は20人にも満たないため、すぐに身元がバレ、しばらく肩身の狭い思いをすることになりそうだ。