長崎・海星高生のいじめ自殺 兄「亡くなった感覚今もない」

5年前、長崎市の私立海星高の男性生徒(当時16歳)がいじめ被害を訴える手記を残して自殺した。生徒の兄(23)は今、国内のテーマパークに就職し汗を流す。ぬいぐるみやディズニーが好きでテーマパークで働くことを夢見ていた弟。命日の20日、弟が命を絶った長崎市の公園で手を合わせた兄は「弟に胸を張れるような仕事をする」と誓った。
この春には、弟が生きていれば就職活動を始めるはずだった。兄は「弟が亡くなった感覚は今もない。『よその県の大学に進学しているだけじゃないか』と思うこともあるが、弟から就職活動の相談を受けられないことを思うと現実に引き戻される」と語った。
弟が命を絶つ前日の2017年4月19日午後9時過ぎ、京都市の大学に入学したばかりだった兄は実家の母(50)から「(弟が)帰って来ない。何か連絡が来ていないか」と電話を受けた。翌朝、通学途中に父(54)から「身元不明の少年の遺体が見つかったらしい」と電話があった。
急いで新幹線に飛び乗った。その夜、長崎の葬儀場で再会した弟は布団に寝かされ、何も言葉を発しなかった。おえつする母たちを見るのは耐えられなかった。
最後に弟の声を聞いたのは亡くなる4日前。無料通信アプリ「LINE(ライン)」で兄のスマートフォンに送ってきた自作の動画だった。弟は映像の中で、シンガポールへの家族旅行で買ったペンギンなどのぬいぐるみを動かしながら、自分の声でセリフを吹き込んでいた。
弟はディズニーとぬいぐるみが大好きで、幼い頃から兄ともよくぬいぐるみで遊んだ。キャラクター作りについて熱く語り合ったこともあり、弟は将来の道としてテーマパークで働くことを考えていた。
兄は昨春、テーマパークに就職し物販の仕事に携わる。「弟が生きた16年間でお兄ちゃんらしいことをできなかった。亡くなってから10年を迎える時には『これはお兄ちゃんが作ったんだよ』と言えるようなコンテンツを作りたい」。それが兄の務めだと信じている。【高橋広之】
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