北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」が消息を絶った現場は、潮の流れが速く複雑で、暗礁もあるため、航行の難所として知られる。周辺海域は天候によって風が強まり、波が高くなることも多く、乗客らの捜索を難しくさせる要因となっている。今後、「メイストーム(5月の嵐)」と呼ばれる猛烈な雨風が発生する恐れもあり、専門家は「捜索を中断せざるを得ないこともあり得る」と懸念を示す。
水難事故の調査・研究を行う「水難学会」(新潟県長岡市)の副会長で、元海上自衛官の安倍淳さん(63)によると、現場周辺では今月下旬~5月、低気圧が急激に発達することがあり、台風のような嵐に見舞われるという。
厳しい条件の中、安倍さんは「捜索範囲を放射状に広げなければいけなくなった」とも指摘する。観光船は半島の西側で消息を絶ったが、加藤七菜子ちゃんは東側の海上で見つかったためだ。
半島は捜索の拠点となる施設も乏しい。給油などで活動が制約されることもあるという。