静岡県熱海市の土石流災害を巡り、遺族や被災者ら84人が、土砂崩落の起点となった盛り土周辺の土地所有者らに計約58億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)であった。土地所有者らは、請求棄却を求める答弁書を提出した。
土石流は昨年7月3日に発生。災害関連死を含め27人が死亡、1人が行方不明となり、住宅など約130棟が被災した。盛り土が被害を大きくしたと指摘されている。
被告は、盛り土の造成などに関わったとされる前土地所有者と現所有者、関連会社の計5法人と、その役員ら8人。原告側は訴状で、土地の前所有者は崩落を防ぐ適切な防災工事を怠り、現所有者は危険性を認識しながら放置していたと指摘し、「盛り土の設置や保存に
瑕疵
(かし)があった」と主張している。
遺族らでつくる「被害者の会」会長で、母の陽子さん(当時77歳)を亡くした瀬下雄史さん(54)は意見陳述で「遺族は故人の苦痛を想像しては苦しみ、絶望の日々を過ごしている。(土石流は)悪質な商行為によって構成された『人災』だ」と強調した。