20年前から「カズワン」アマ無線使用…業務用では禁止、免許ない従業員が交信も

知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)が約20年前から、アマチュア無線を電波法で禁じられた業務用に使っていたことが、関係者の証言で分かった。免許を持たない従業員に交信させるケースもあったといい、無線利用に関するずさんな実態がさらに浮き彫りとなった。
同社は2001年に設立され、05年に現社名となった。16年に桂田精一氏(58)が社長に就任している。
複数の元従業員によると、ツアー中に特定の地点を通過したことを船が事務所に伝える定点連絡には、設立間もない時期から、アマ無線が使われていた。船からは他に、携帯電話と衛星電話でも連絡できたが、「会社からは主にアマ無線を使うよう、指示を受けていた」という。他人のアマ無線機を別の従業員が使うことや、無線の免許を持たない従業員が船から連絡をすることもあったという。
ウトロ漁港を出て、知床半島沿いに岬に向け進むツアーの場合、崖の近くや岬で地形に電波が遮られ、アマ無線による定点連絡は度々できなかった。20年ほど前にある船長が「無線が通じにくい」と会社に報告したが、会社側から改善方針は示されなかった。桂田社長が就任した後も、アマ無線の業務利用は続いていたという。
「本来業務で使えないことは知っていたが、会社の指示だった」という複数の証言があり、ある元従業員は「衛星電話や携帯は通話に金がかかる。アマ無線による交信は無料なので、安さが魅力だったのではないか」と話した。
知床遊覧船は、国に届け出た安全管理規程で、船と事務所の連絡手段を「業務用無線」と定めていた。ただ、実際はアマ無線を使っていたとして昨年、国土交通省から行政指導を受けた。事故後の今月12日に総務省北海道総合通信局が行った聞き取り調査では、その後も船からアマ無線で定点連絡をしていたことが判明している。アマ無線の業務利用は緊急時を除いて電波法違反の疑いがあり、同局が利用実態を調べている。