岸田流おもてなし、ランチに地元広島の「神石牛のヒレ肉」…広島産レモンソーダで乾杯も

岸田首相は23日、初来日したバイデン大統領のもてなしに全力を挙げた。歴代の首相も米大統領の来日時には、食事などの接遇に工夫を重ねてきた歴史がある。良好な日米関係の維持には、会談以外の場でも本音を語り合い、信頼関係を育むことが不可欠なためだ。
首相は東京・元赤坂の迎賓館で行われたワーキングランチで、地元・広島の

神石
(じんせき)牛のヒレ肉のグリルや野菜などを振る舞った。
東京都港区の「八芳園」内の料亭「

壺中
(こちゅう)庵」での夕食会では一転して、広島産にこだわらず、バイデン氏の好物であるサーモンやチキンなどを出した。デザートには、バイデン氏が副大統領時代の2011年8月、東日本大震災で被災した宮城県名取市を訪問したことにちなみ、名取市産のジェラートを取り寄せた。お酒が飲めないバイデン氏に配慮し、酒豪で知られる首相もお酒を控え、広島産のレモンソーダで乾杯した。
夕食会は約1時間25分にわたって行われ、両首脳はお互いの選挙区事情や、ともに地元が

牡蠣
(かき)の名産地であることなどで話が盛り上がったという。夕食会の前には、園内で裕子夫人がバイデン氏に抹茶を振る舞った。
八芳園は、徳川家に仕えた大久保彦左衛門の屋敷だったといわれ、約4万平方メートルの敷地に日本庭園や茶室なども備わる。「ゆったりとした庭もあり、胸襟を開いて議論できる場として選んだ」(木原誠二官房副長官)という。
夕食会の同席者の一人は「笑いの絶えない会食で、両首脳は非常にリラックスした様子だった。『フミオ・ジョー』の関係は確実に深まった」と振り返った。
米大統領へのもてなしの演出は、その時々の首相の個性を映し出してきた。
中曽根康弘首相とロナルド・レーガン大統領は計12回の会談を重ねているが、1983年11月にレーガン氏が来日した際は、東京・日の出町に所有していた山荘に大統領夫妻を招待し、中曽根氏は自らたてた抹茶でもてなした。2人は「ロン」「ヤス」の愛称で呼び合い、関係を強化した。
小泉純一郎首相は、ジョージ・ブッシュ(子)大統領と2001年6月の初会談以降、「戦後最良」と言われるほどの親密な関係を築いた。05年11月にブッシュ氏が来日した際は、大統領夫妻とともに京都市北区の金閣寺を訪れて散策した。
安倍晋三首相が得意としたのは「ゴルフ外交」だ。17年11月、ドナルド・トランプ大統領が初来日した際には、「霞ヶ関カンツリー倶楽部」(埼玉県川越市)でプロゴルファーの松山英樹選手を交えてゴルフを行った。安倍氏とトランプ氏は3日間の滞在中、10時間近くも時間を共にし、親密な関係を国内外にアピールした。