知床観光船事故、運航会社の事業許可取り消しへ 国交省6月にも決定

北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故で、国土交通省は24日、運航会社「知床遊覧船」(北海道斜里町)に対する特別監査の結果を踏まえ、事業許可取り消しの行政処分に向けた手続きに入ったと明らかにした。同社側の主張を確認するために聴聞を実施したうえで、6月中旬にも処分が正式に決まる。
海上運送法に基づく行政処分としては最も重い措置で、事故による事業許可取り消しは全国で初めてとなる。斉藤鉄夫国交相は24日の閣議後記者会見で、「特別監査を実施し、海上運送法上の違反を多数確認した。このまま事業を続けさせれば再び事故を起こす蓋然(がいぜん)性が高く、取り消しの処分が適当と判断した」と述べた。国交省は事故翌日の4月24日、同社への特別監査を開始し、海上運送法に基づく「安全管理規定」を順守しているかなどを調べていた。
国交省などによると、同社の安全管理規定では運航管理者は船の航行中、事務所にいるよう定められていたにもかかわらず、運航管理者の桂田精一社長は事故当時、不在だった。また、不在の場合に代行する運航管理補助者は、カズワンに乗っていた豊田徳幸船長(行方不明)になっており、事故時に陸上で運航管理を担うスタッフが誰も事務所にいなかったことなどが明らかになった。
特別監査ではこうした経緯のほか、荒天が予想されたにもかかわらず運航を中止しなかった点なども安全管理規定に違反するとした。さらに桂田社長を運航管理者とした際、同社が「3年以上の実務経験がある」との要件を満たすと届け出たことについて「虚偽」と認定した。
事故では乗員乗客計26人のうち14人の死亡が確認されたほか、12人が行方不明のままとなっており、海上保安庁も業務上過失致死容疑で捜査を進めている。【木下翔太郎、遠藤龍】