カズワン海面上につり上げ、事故原因の解明へ…専門家「難航が予想される」

北海道・知床半島沖で乗客乗員26人を乗せた観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、移動中に水深182メートルの海底に落下した船体が26日、事故後初めて海面上につり上げられた。有力な証拠である船体が陸揚げされることで、海上保安庁などによる事故原因の解明が期待されているが、専門家は「難航が予想される」としている。
カズワンは4月23日に消息を絶つ前、「エンジンが止まった」「船首が浸水している」などと連絡していた。水中カメラや潜水士による調査が進められたが、船底やエンジンなどの詳しい調査は行われていなかった。
元海上保安監の伊藤裕康・海上災害防止センター理事長は「船長が行方不明のままで話が聞けず、事故原因の特定は難しいが、船体に傷があれば、どのように浸水につながったか分析することになる」と話す。
船内からは乗客乗員のものとみられる携帯電話やカメラが回収されている。今後の調査では、当時の様子などが記録されていないかどうか、分析も必要になる。
第1管区海上保安本部は、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)らを業務上過失致死容疑で捜査している。仮に事故原因が高波などと特定された場合には、天候が荒れれば引き返すと「条件付き運航」を決めた、桂田社長の判断の是非などがポイントとなる。ただ、伊藤理事長は「事故原因が特定された後に立件が可能かどうか慎重に捜査することになり、長期化するだろう」とみる。