トランプ大統領がまたツイッターで解任通告 安保担当補佐官はなぜ対立したのか

もはや常套手段となった米トランプ大統領によるツイッターでの解任通告。9月10日(現地時間)に新たな犠牲者となったのは、安全保障担当の大統領補佐官、ジョン・ボルトン氏(70)だった。
「ホワイトハウス内の大統領執務室近くにオフィスを構える安保担当補佐官は、国務、国防長官と匹敵する発言力をもつ。概ね大統領1期で1、2名が通例ですが、トランプ政権ではボルトン氏が3人目と、鬼門のポストとなっています」(外信部デスク)
口髭が特徴的で好々爺然とした風貌のボルトン氏だが、「自由や民主主義というアメリカ建国の理念を追求するためには武力行動もやむなし」というゴリゴリのネオコンの代表格だ。
「15年にはボルトン氏は、イランの核開発をめぐって『イラン攻撃しかない』とNYタイムズで論陣を張っていた。そんなボルトン氏が18年3月に安保担当補佐官に就任したとき、外交関係者からは『シリアやイランなどと開戦の可能性が高まった』と強い懸念の声が上がった」(同前)
しかしトランプ氏とボルトン氏の蜜月は短く、溝は次第に深まっていった。
「まず中東情勢をめぐって両者の意見が対立。6月にイランが米軍のドローンを撃墜した際、ボルトン氏が強く進言したイラン攻撃には踏み切らなかった。またトランプ氏はアフガニスタンからの撤兵や、タリバンとの和平協議を推し進めたが、ボルトン氏は激しく抵抗しました」(現地記者)

さらに両者の対立を深めたのが北朝鮮政策だった。
「ボルトン氏は、非核化への合意に突き進もうとするトランプ氏の方針に徹底的に反対し、核を国外に運び出したあとに制裁を解除するリビア方式を唱えた。北朝鮮が猛反発すると、トランプ氏は『(リビア方式は)最大の失敗だ』と糾弾しています。軋轢(あつれき)が強まるなか、今年6月、板門店で急遽、開かれた3回目の米朝首脳会談にボルトン氏の姿はありませんでした」(同前)
ボルトン氏と対照的にトランプ氏の信頼を高めてきたのが「忠実なるイエスマン」として知られるマイク・ポンペオ国務長官(55)だ。ボルトン氏との権力闘争に勝ったポンペオ氏は、ボルトン解任についてコメントを求められ「私は決して驚かない」と不敵な笑みを浮かべたという。
イラン、アフガニスタン、シリア、そして北朝鮮……。来年11月の大統領選挙にむけた「成功神話」をデッチ上げるべく、自らが蒔いた紛争の不穏な種をどう刈り取るのか。その間、世界情勢は、トランプ氏と「イエスマン」の言動に激しく左右され続けてしまうのだ。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年9月26日号)