熊本県は30日、輸入アサリの産地偽装対策として導入した県独自のトレーサビリティー(生産流通履歴)制度を本格運用し、現在は熊本、福岡両県に限定している熊本県産アサリの販売を6月から全国に拡大すると発表した。中国などからの輸入アサリが「熊本県産」として流通していた問題の発覚後、新たな産地偽装は確認されておらず、国や県の対策に一定の効果があったと判断した。
熊本県の漁業者は産地偽装問題の発覚後、2月から約2カ月、県産アサリの出荷を停止。県はその間にトレーサビリティー制度などを構築し、4月から同制度の実証実験として販売を再開した。県産アサリは近年、不漁が続いていたが、県によると4月12日~5月29日だけで2020年の年間漁獲量(約21トン)を上回る約41トンを出荷。県が認証した「モデル販売協力店」374店で販売された。
全国販売されるのは6月7日の入札会に出される分で、同13日にも店頭に並ぶ。ただ、県産アサリの砂抜きなどをする県認定加工場が現時点では熊本、山口両県にしかないため、当面は西日本での販売が中心になる見通し。県は加工場の追加も検討している。
蒲島郁夫知事は「販売再開後、県産アサリの売れ行きは順調で消費者の期待を感じる。しかし、信頼回復に向けた取り組みはまだ道半ばで、今後も全庁を挙げて取り組む」と述べた。【野呂賢治】