仙台藩初代藩主・伊達政宗(1567~1636年)が描いた可能性がある「
達磨
(だるま)図」が先月見つかった。1928年(昭和3年)に仙台市内で開かれた「東北遺物展覧会」に出品された後、約90年間所在不明だったもので、同市の収集家の男性(63)が知人から入手し、専門家に本物かどうか鑑定を依頼した。絵柄や箱書きなどから、「政宗の真筆の可能性が高い」との見解が示された。
達磨図は縦67・5センチ、横34・5センチ。数種類の墨で達磨が勢いよく描かれ、傍らには政宗の信頼が厚かったとされる禅宗の僧侶、
清嶽
(せいがく)の讃(詩文)もある。絵を入れた桐箱には、政宗の死後に贈られた名「貞山公」の絵だと記されていた。
同様の書き込みは絵の裏側にもあった。仙台とゆかりの深い国語学者、大槻文彦の筆跡に似ていたため、収集家の男性は、複数の専門家に鑑定を依頼。その結果、清嶽の生家が所蔵していた達磨図を大槻が購入し、大槻の死後、その養子の名義で東北遺物展覧会に出品され、同じ絵柄の写真が展覧会の図録に掲載されていたことが判明した。
元仙台市博物館長で、政宗研究家の佐藤憲一さん(73)は、当時の大名の絵画と同様に、作者を示す落款がないことなどを真筆の可能性が高いとする根拠に挙げる。同じく元仙台市博物館長で、絵が専門の浜田直嗣さん(82)は「紙と墨の経年劣化から、約400年前のものとみて間違いない」と指摘している。
政宗自筆とみられる本格的な絵は、2015年に宮城県塩釜市の旧家で見つかった「梅に雀図」に続いて2例目。収集家の男性は、達磨の相手を見据えるような鋭い目つきについて「何度も生死のはざまを駆け巡った武人の精神が生きている」と語り、今後、公開の機会があれば協力したいとしている。