愛知・取水施設漏水「劣化でパイピング現象か」 検討委が初会合

愛知県豊田市の取水施設「明治用水頭首工(とうしゅこう)」の大規模漏水で、東海農政局は2日、原因究明や復旧対策を検討する委員会の初会合を開いた。三重大名誉教授の石黒覚委員長は会合後、漏水の原因となった川底の穴について「(頭首工下部の地中に水の通り道ができる)パイピング現象が発生したと推定される」と指摘。「頭首工は造成から60年以上が経過し、経年変化を無視するわけにはいかない印象を持っている」と述べ、頭首工の劣化が同現象を招いた可能性に言及した。
漏水を巡っては、頭首工の上流と下流部の川底にそれぞれ穴が見つかっている。委員会のメンバーは会合に先立って現場を視察したが、石黒委員長は漏水箇所を見た感想について「左岸下流部に、かなりの流出土砂がたまっている」と語り、パイピング現象の発生により「堤体下部に大きな空洞ができている可能性がある」と説明した。
1958年に完成した頭首工について、石黒委員長は「地盤と構造物の間が年月の経過とともに劣化していく。それが漏水を引き起こす可能性があると考えている」と説明。頭首工を巡っては2015年から22年にかけて耐震工事が実施されているが、工事と今回の漏水の因果関係を記者会見で問われると「今後、調査したい」と述べた。
同委員会は石黒委員長のほか、国立研究開発法人土木研究所の諏訪義雄・河道保全研究グループ長や大学教授ら計6人で構成。初会合では、委員から「水の通り道の位置や範囲を確認できれば、ある程度の原因が分かる」などの意見が上がった。また、今後水中カメラなどを使って穴の位置や状態について調査していくという。【酒井志帆】