5日に滋賀県で開催された第72回全国植樹祭に当たり、天皇陛下が述べられたお言葉の全文は次の通り。
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第72回全国植樹祭が滋賀県の「鹿深(かふか)夢の森」で開催されるに当たり、オンラインという形で出席し、皆さんと一緒に植樹を行うことができることをうれしく思います。
滋賀県においては、昭和50年に当時の栗太郡栗東町にある金勝山(こんぜやま)で第26回全国植樹祭が開催されました。私たちは、平成7年の第19回全国育樹祭の折、その植樹祭会場を訪れ、昭和天皇お手植えのヒノキの枝打ちと香淳皇后お手植えのモミジの施肥を行いました。当時の会場は「県民の森」として地域の人々に親しまれ、植樹された木々も立派に育っていると聞いております。
滋賀県の中央部に位置する琵琶湖は、周囲の山々から流れ出す河川によって形成され、人々の暮らしを支える重要な水源として、また、水上交通の要所として大きな役割を果たしてきました。滋賀県の豊かな森林は、琵琶湖の水源を擁し、琵琶湖固有の生態系を育むとともに、古代より、森林から切り出された木材が琵琶湖の水運によって都や社寺の建築に利用されてきています。このような「木を植え、育て、伐(き)って利用し、また植える」という循環の取組は現在にも受け継がれ、今もなお、多くの人々の協力と活動により森林づくりが行われていることを喜ばしく思います。
森林は、水源の涵養(かんよう)や国土の保全、木材を始めとする林産物の供給など、私たちに様々な恩恵をもたらします。また、温暖化の防止や生物多様性の保全など、地球環境を守っていく上で、その重要性は今日ますます大きなものとなっています。
こうした森林の大切さを思うとき、私たちにもたらされる自然の恵みに感謝するとともに、これからも健全な森林を育み、木々を木材として循環利用しながら、次の世代、またその次の世代へと引き継いでいくことは、私たちの果たすべき大切な使命であると考えます。
本日表彰を受けられる方々を始め、日頃からそれぞれの地域において森林や緑づくりに尽力されている全国の皆さんに敬意を表し、そうした活動が、今後も多くの人々に支えられながら発展していくことを期待します。
私たちは、今もなお、新型コロナウイルス感染症の影響により、様々な困難に直面しています。森林に関わり、林業に携わる皆さんの御苦労もいかばかりかと思いますが、皆さんのたゆみない努力が実を結び、この困難を乗り越えていかれることを願っています。
終わりに、この大会のテーマである「木を植えよう びわ湖も緑のしずくから」にふさわしく、人々が協力して、水源となる森林を守り、育むことにより、美しく豊かな水が生まれる活動が、滋賀の地から全国へ、そして世界へ広がり、将来の世代へとつながっていくことを願い、私の挨拶といたします。