ロシアによるウクライナ侵攻で大けがを負った同国のアントン・コルニシュクさん(37)が千葉大病院(千葉市中央区)で入院生活を送っている。セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使は6日、見舞いに訪れた。大使によると、侵攻の負傷者を受け入れたのは国内の病院で初。ウクライナでは十分な治療を受けられない負傷者も多数いるという。大使は取材に、同病院への謝意を示すとともに、日本の他の病院での受け入れも希望した。
病室を訪れた大使は、約15分間、アントンさんと面会。持参した千羽鶴や日本語の絵本のほか、アントンさんがスマートフォンでウクライナの家族や友人らと話せるように、日本のSIMカードも贈った。
大使は快方に向かっているアントンさんの容体に安堵(あんど)した。さらに「戦争で負傷した人は数万人に上る。今後も負傷したウクライナ兵を日本に連れてくることができれば」と述べ、日本の病院での治療やリハビリの受け入れを希望した。
アントンさんも「戦争でケガをしたウクライナの人々が、治療のため、もっと日本に来てほしい」と話し、自身も他の負傷者らの手助けに協力を申し出た。
アントンさんは侵攻から約1カ月が経過した3月25日、同国の首都キーウ近郊で住民の避難を手助けしていた所、ロシア軍の迫撃砲による攻撃で負傷。右足の開放骨折や左足のアキレス腱(けん)が欠損するなどの大けがを負い、病院に運ばれた。
その際、同国西部のリビウ国立大で社会人学生として日本語を学んでいた経験から、日本での治療を希望。同大の指導教員が日本の知人を通じて受け入れ先を探し、千葉大病院が応じた。アントンさんは5月19日にウクライナを出国し、ポーランド経由で21日に成田空港に到着した。
横手幸太郎病院長は「ウクライナの出来事に大変心を痛めている。われわれの医療が役に立つのは大変うれしい。今後もできることを最大限していきたい」と話していた。
アントンさんは1~2カ月ほどのリハビリで社会復帰できる見通し。「治ったら千葉を散歩したり、海の景色が見たい」。ただ、故郷の話になると「僕はここでウクライナ人としての任務がある。日本国民のためにウクライナについての真実を話したい」と言葉に力を込めた。