今年1月の大学入学共通テストでの問題流出事件を受け、大学入試センターは来年の共通テストで不正防止策を大幅に見直し、スマートフォン使用禁止の厳格化や監督態勢の強化を図る。問題を流出させた女子受験生(19)が、スマホにイヤホンをつなげ、外部協力者から解答を聞き取っていたことから、受験案内にイヤホンの使用禁止も新たに明記する。
女子受験生は共通テスト初日の1月15日、大阪府内の試験会場で、問題をスマホで動画撮影し、ウェブ会議システムで外部にいた会社員の男と共有。男は問題を大学生らに通話アプリ「スカイプ」で送り、解答を返信させたとされる。警視庁や入試センターの調べによると、女子受験生は試験中、スマホに有線でつないだイヤホンで解答を聞き取っていたという。
情報通信技術は近年、飛躍的に進歩し、スマホで高画質の画像や動画を簡単に送れ、不正行為の発見は困難になっている。事情を知らずに問題を解いた大学生が入試センターに通報しなければ不正が発覚しなかったことから、対策強化に踏み切った。
スマホへの対応では、試験開始前に、監督者の指示でスマホなどの電子機器を一斉に机に出させ、電源を切ってからかばんにしまわせる。共通テストでスマホなど電子機器類の使用は禁止されているが、電源を切るタイミングなどは各受験生に任せていた。イヤホンは受験生向けの受験案内で使用禁止を新たに明記する。