台風20号で徹夜対応後に急死 元職員遺族、市に「状況説明を」

2018年8月の台風20号への対応に当たった直後、急死した和歌山県田辺市危機管理局長、中野典昭さん(当時57歳)の遺族が8日、市に当時の状況や対応について説明を求める申し入れをした。市は2週間以内に回答する考えを示した。
遺族や市によると、中野さんは18年8月23日朝から指揮を執り、市全域への避難勧告を出すなど夜を徹して勤務。24日もほとんど休息を取れないまま、夕方に退庁した。妻には再三、SNSで体調不良を伝えていたという。25日午前10時ごろ、自宅でけいれんを起こしている状態で妻に発見され、市内の病院に搬送されたが26日に脳出血で死亡した。
遺族は18年12月、地方公務員災害補償基金県支部に公務災害認定を申請。台風への対応による強度の精神的、肉体的負荷が未治療の基礎疾患である高血圧を悪化させ、脳出血を発症させたとして20年6月、公務災害に認定された。
遺族が問題視しているのは8月23日午後9時58分、危機管理局長が指揮を執る「警戒体制」から総務部担当副市長をトップとする「災害対策準備室」に体制が強化されたにもかかわらず、当時の担当副市長(19年1月末で退任)が自宅待機のまま、登庁しなかった点だ。遺族は「副市長が来ていれば負担が軽減され、死亡に至らなかったのではないか」としている。この日、市役所で記者会見した遺族は「説明がなく、市と全く関係がないように振る舞われていることに憤りを感じる。きちんとした謝罪と説明がほしい」と訴えた。
一方、市は「副市長にはいつでも連絡でき、必要な判断が下せる状態にあった」とすると共に、「準備室設置以降、市の暴風雨のピークは過ぎており、災害対策の重要判断をする事案はなく、中野さんに判断が集中したという状況はなかった」などとしている。記者会見した西貴弘・市総務部長は「遺族の心中は察してあまりある」とした上で、副市長が登庁しなかったことについては「原則は来るべきだ。来なかった理由は聞いていない」とした。説明がないとの遺族の主張に対しては「公務災害認定を申請する際に市が手伝っており、その中で状況は把握していただいていると思っていた」と話した。【竹内之浩】