「夫は私しかいない」妻が体調不良、和歌山・仁坂知事が次の選挙への不出馬表明

「県のリーダーはいい人が現れる可能性があるが、妻にとって夫は私しかいない」。15日の和歌山県議会本会議で仁坂知事は、次期知事選について、悩んだ末、多選や自身の年齢、妻の体調不良などを理由に出馬しないことを決めたと説明した。一方で「今後も県政を担ってくれという声が山のように寄せられた。申し訳なく、断腸の思い」と複雑な心境を明かした。(北谷圭)
本会議の後に報道陣に対応した仁坂氏は、終始穏やかな表情で約25分間、質疑に応じた。
次期知事選に向けて、県の政界は「仁坂派」「反仁坂派」で分かれているとされる。仁坂氏は「激しい対立があり、それは続くと思う。好ましくない」と述べ、退任を決めた要因の一つだとした。
12月16日の任期満了に向けて引き続き課題に取り組む意欲を示し、国政などへの転身は「全くない」と否定した。後継指名も考えていないという。
仁坂氏は、前知事が官製談合事件で逮捕され、辞職したことに伴い、2006年の知事選で初当選した。制度改革に着手し、指名競争入札を取りやめて、全ての建設工事で条件付きの一般競争入札を導入。共同企業体(JV)の見直しも行った。
県議会の尾崎要二議長(自民)は「官製談合で県政への信頼が失墜したところからのスタートで、よく頑張ってもらった。高速道路の延伸など、インフラの整備も先頭を切ってやってくれた」と振り返る。
11年9月の紀伊水害では、孤立した集落の救助のため、当時の防災担当大臣に各地のヘリコプターを集めるよう要請し、実現させた。串本町への民間初の小型ロケット発射場の誘致にも尽力した。
自民党県連の山下直也幹事長(県議)は「国との付き合いも深く、県民のために努力してこられた。行動力が立派だった」とねぎらった。
20年には、新型コロナウイルスへの対応で成果を上げた。感染者の全員入院を原則とし、徹底的な感染の封じ込めを目指す対応は「和歌山モデル」として全国的に高評価を得た。
一方で昨年は、新たな副知事の人事案が県議の猛反発で頓挫。肝いり政策だったカジノを中核とした統合型リゾート(IR)の誘致計画についても県議会が4月に否決するなど、苦しい県政運営を余儀なくされた。
今後の焦点は「ポスト仁坂」に移る。次期知事選には、岸本周平衆院議員(和歌山1区)が立候補を表明している。岸本氏は、事務所を通じて「(仁坂氏の)功績に敬意を表し、県民の一人として感謝を申し上げる。後継者として県民の皆さまに選んでいただけるよう、経験と人脈を生かして努力していきたい」とコメントした。