若者への性暴力 現場で多いのは学校、公共交通機関 内閣府調査

内閣府男女共同参画局は17日、全国の若者(16~24歳)を対象とした性暴力被害に関する初の実態調査の結果を公表し、「最も深刻な被害に遭った場所」として「学校」が最多だったことが明らかになった。次いで多かったのは「公共交通機関」。また、被害者が望む必要な対策として「刑法改正による法令適用範囲の拡大」が最も多く、法制度の見直しを巡る議論に影響を及ぼす可能性がある。【菅野蘭】
若者支援目的に約33万人を抽出
調査は1月、オンラインによるアンケート形式で実施。望まない性的な言動を「性暴力」と定義した。全国にある性犯罪・性暴力に関する相談窓口「ワンストップ支援センター」で面談利用者の過半数が若年層であることなどから調査対象を若者に絞った。内閣府は調査結果を詳しく分析したうえで、今後の被害者支援などに役立てる考えだ。
性別や年齢別の人口分布を考慮して約22万1000人を抽出し、6224人から回答を得た(回答率2・8%)。さらに、回答数を増やすため約10万7400人を抽出し、2717人が回答した(同2・5%)。その結果、回答者計8941人のうち計2040人が被害に遭っていたことが判明した。
「4人に1人が何らかの被害」
内閣府は、回答率が低いことから「母集団の特性を反映する疫学的データとは言えない」としつつ、1回目の回答者6224人のうち被害経験者が1644人(26・4%)いたことから「約4人に1人が何らかの性暴力被害に遭ったと回答した」と強調する。被害の分類(複数回答)は、①「言葉によるもの」(17・8%)②「身体接触を伴うもの」(12・4%)③動画を見せられるなどの「情報ツールを用いたもの」(9・7%)④「視覚によるもの」(7・4%)⑤「性交を伴うもの」(4・1%)――の順に多かった。
性交伴う加害者、「学校関係者」が最多
①~⑤について、被害経験者2040人に「最も深刻な被害」を一つ選択させた上で、その加害者を複数回答で尋ねたところ、②を選んだ人の加害者は「知らない人」(50・2%)が最多で、教職員や先輩、同級生などの「学校関係者」(24・5%)▽「職場・アルバイト先」(10・8%)――などと続いた。⑤については「学校関係者」(29・3%)が最も多く、「元」を含む「交際相手」(27・5%)▽「SNSを含むインターネット上で知り合った人」(19・2%)▽「知らない人」(18・0%)――などだった。
また、「最も深刻な被害に遭った場所」(複数回答)は「学校」(22・5%)が最多で、「公共交通機関」(16・8%)、「インターネット上」(11・9%)などが続いた。公共交通機関は痴漢被害場所の8割を占め、生活に身近な場面で被害に遭っている実態が浮き彫りになった。一方、「被害を誰にも相談しなかった人」は約半数に上り、その理由として「恥ずかしくて言えなかった」「相談するほどのことではないと思った」「相談しても無駄だと思った」などが多かった。
刑法改正で適用範囲拡大求める声多く
「性暴力のない社会にするために必要な取り組み」(複数回答)では「刑法を改正し、加害者を罪に問えるようにしたり、罪を重くしたりする」(59・2%)が最多で、「社会全体に性犯罪・性暴力について広く知ってもらう」(47・2%)、「加害者、被害者、傍観者にならないための教育の推進」(43・4%)と続いた。
性犯罪に関する刑法の見直しを巡っては、2021年9月に被害の実態に応じた法制度とするよう法制審議会(法相の諮問機関)に諮問され、「地位や関係性を利用した性的行為を罰する罪の新設」「わいせつ目的で子どもを懐柔する罪の新設」などについて議論が続いている。また、政府が今年5月に公表した「女性版骨太の方針」では「痴漢撲滅パッケージ」(仮称)を今年度中に取りまとめるとしており、今回の調査結果が影響する可能性がある。
被害相談の主な窓口
・性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター 全国から=#8891
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html
・性暴力に関するSNS相談 Cure time(キュアタイム)
https://curetime.jp/