飲食店の口コミサイト「食べログ」が店の評価を計算するアルゴリズムを変更したため、評価点が一方的に引き下げられたとして、焼き肉チェーンの運営会社「韓流村」(東京)がサイト運営会社「カカクコム」(同)に約6億4000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が16日、東京地裁であった。判決は「優越的な地位を利用して不利益な変更を行い、独占禁止法に違反した」と認定し、3840万円の賠償を命じた。
「消費者の評価を公正に反映する本来のグルメサイトの役割を果たしてほしい」。「韓流村」の
任和彬
(イムファビン)・代表取締役(51)は判決後の取材にそう話した。食べログ経由の客が月5000人以上減り、「ブランドが傷ついたと感じた」と振り返る。
都内で記者会見した原告代理人の皆川克正弁護士は、食べログのアルゴリズムについて、「ほぼブラックボックスだ」と指摘。「プラットフォーマー(サービス基盤の提供者)には巨大な力がある。透明性や公正さを重視してアルゴリズムを運用してほしい」と訴えた。
チェーン店の経営者からは、判決を評価する声が上がる。都内で3軒の肉料理店を経営する男性(47)も韓流村と同じ時期に各店舗の評価点が0・3点ずつ下がったことに気づいた。「食べログの評価は客入りに直結する。一方的に下げられ、客足はがくんと落ちた」と憤り、「食べログ側に対応を求めたい」と語った。
こうしたサイトの影響力は強まっている。公正取引委員会が2019~20年、1万人の消費者を対象に実施した調査では、83%がサイト上の評価を「参考にしている」と答えた。一方で91%が店の評価の決定方法について「知らないサイトがある」と回答した。
調査では1091人の飲食店経営者らにもアンケートを取っており、サイトの影響力が「非常に大きい」「大きい」との回答は6割近くに上った。
プラットフォーマーの規制に詳しい
泉水
(せんすい)文雄・神戸大教授(独占禁止法)は、「アルゴリズムの変更を独禁法違反とした判決は、世界的な規制の流れに沿うものだ」と評価する。今後の影響について「飲食だけでなく他業界で同様のサイトを運営する事業者は、計算式を変更する際に取引先への事前説明を求められるだろう」と語る。
近年、プラットフォーマーが優位な立場を背景に一方的な要求を押しつけるケースが増え、規制する動きが広がっている。
欧州連合は3月、大手IT企業が自社の検索サイトで、自分の会社が提供する商品やサービスを優遇して表示することなどを禁じる「デジタル市場法」を決定した。日本でも2020年、大手IT企業に取引先企業との契約条件を開示し、変更時に事前通知を義務づける「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」が成立した。