世界保健機関(WHO)の進藤奈邦子シニアアドバイザーは18日、日本環境感染学会の総会で講演し、欧州などで感染報告が相次ぐ「サル痘」について、「軽症が多く、欧州で死亡例は出ていない」と説明した。国内で感染者は確認されていないが、欧米を中心に感染者が増えており、注意を呼びかけた。
サル痘は動物由来のウイルス感染症で、感染すると発熱や発疹などの症状が出る。今年5月以降、これまで継続的に発生していたアフリカ以外の地域でも広がっている。WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)に該当するか否かを23日の緊急委員会で判断する。
進藤氏は家庭内やMSM(男性と性交渉する男性)で感染が広がっているとし、「コンドームを使っても予防できる感染症ではないと考えている」と明かした。体毛をそった後の傷ついた皮膚やウイルスがまだ残っているかさぶたなどから感染する恐れもあるという。また、感染の実態について誤解を与えやすいとして、サル痘の名称について「WHOでは新しい名前を考え中だ」と明かした。
新型コロナウイルスの今後の流行についても言及し、夏休みを迎えた欧州で増加傾向にあることなどから、「これから日本でも(感染者が)増える可能性は非常に高い」と述べた。【寺町六花】