ニュースの核心 進む「円安」背景に〝岸田不信〟 中露北に囲まれる日本は「最も危険なホットゾーン」のど真ん中 地政学的リスクも 防衛費を抜本的増へ

今夏の参院選(22日公示、7月10日投開票)は、ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍事的覇権拡大を受けた安全保障政策や、「円安・物価高のダブルパンチ」に対処する経済政策などが争点になる。特に、円相場は今週初め、一時1ドル=135円台まで下落するなど、1998年10月以来、24年ぶりの円安水準となっている。この背景について、「岸田文雄政権の安保・経済政策に対する、海外の強烈な不信感がある」という指摘がある。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が核心に迫った。 円安が加速している。マスコミはもっぱら、「日本と米国の金利差が理由」と解説するが、本当にそれだけか。私は「日本売り」の背景には「岸田政権の優柔不断さが背景にある」とみる。経済も安全保障政策も、だ。 インフレが進む米国が利上げに動く一方、黒田東彦総裁率いる日本銀行は金融緩和を続けている。マネーは高金利を求めて、日本から米国に流れるので、円が売られて円安になる。これが一般的な解説だ。 だが、それだけが理由ではない。 投資家から見ると、まず日本経済の先行きに期待できない。岸田政権は「新しい資本主義」を掲げているが、具体策がはっきりしない。先週も指摘したが、新興企業に対する支援策の策定を年末に先送りしたのが、象徴的だ。政府は節電を呼びかけているが、この夏には「停電の可能性もある」という。 とても、先進国とは思えない体たらくである。技術革新どころではなく、産業基盤の根本が揺らいでいる。 私は『月刊Hanada』2月号の連載で指摘したが、政権の経済無策以上に、米国のヘッジファンドなどが懸念しているのは、実は「日本の地政学的リスク」である。 日本は、ロシアと中国、北朝鮮という独裁・専制主義国家に囲まれている。3カ国は、いずれも「核保有国」だ。 ウラジーミル・プーチン大統領のロシアはウクライナに侵攻し、習近平国家主席の中国は台湾や日本の尖閣諸島を威嚇している。金正恩(キム・ジョンウン)総書記の北朝鮮もミサイル発射を繰り返し、近く核実験を再開する可能性が取り沙汰されている。 世界から見ると、日本は「平和な島国」どころか、いまや、「最も危険なホットゾーン」のど真ん中に位置しているのだ。 にもかかわらず、肝心の岸田政権はといえば、「平和国家ニッポン」などと、「どこの左翼政党か」と間違えそうなキャッチフレーズを唱え、外相には「親中派の筆頭格」林芳正氏を抱え続けている。ようするに、危機感が薄いのだ。
今夏の参院選(22日公示、7月10日投開票)は、ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍事的覇権拡大を受けた安全保障政策や、「円安・物価高のダブルパンチ」に対処する経済政策などが争点になる。特に、円相場は今週初め、一時1ドル=135円台まで下落するなど、1998年10月以来、24年ぶりの円安水準となっている。この背景について、「岸田文雄政権の安保・経済政策に対する、海外の強烈な不信感がある」という指摘がある。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が核心に迫った。
円安が加速している。マスコミはもっぱら、「日本と米国の金利差が理由」と解説するが、本当にそれだけか。私は「日本売り」の背景には「岸田政権の優柔不断さが背景にある」とみる。経済も安全保障政策も、だ。
インフレが進む米国が利上げに動く一方、黒田東彦総裁率いる日本銀行は金融緩和を続けている。マネーは高金利を求めて、日本から米国に流れるので、円が売られて円安になる。これが一般的な解説だ。
だが、それだけが理由ではない。
投資家から見ると、まず日本経済の先行きに期待できない。岸田政権は「新しい資本主義」を掲げているが、具体策がはっきりしない。先週も指摘したが、新興企業に対する支援策の策定を年末に先送りしたのが、象徴的だ。政府は節電を呼びかけているが、この夏には「停電の可能性もある」という。
とても、先進国とは思えない体たらくである。技術革新どころではなく、産業基盤の根本が揺らいでいる。
私は『月刊Hanada』2月号の連載で指摘したが、政権の経済無策以上に、米国のヘッジファンドなどが懸念しているのは、実は「日本の地政学的リスク」である。
日本は、ロシアと中国、北朝鮮という独裁・専制主義国家に囲まれている。3カ国は、いずれも「核保有国」だ。
ウラジーミル・プーチン大統領のロシアはウクライナに侵攻し、習近平国家主席の中国は台湾や日本の尖閣諸島を威嚇している。金正恩(キム・ジョンウン)総書記の北朝鮮もミサイル発射を繰り返し、近く核実験を再開する可能性が取り沙汰されている。
世界から見ると、日本は「平和な島国」どころか、いまや、「最も危険なホットゾーン」のど真ん中に位置しているのだ。
にもかかわらず、肝心の岸田政権はといえば、「平和国家ニッポン」などと、「どこの左翼政党か」と間違えそうなキャッチフレーズを唱え、外相には「親中派の筆頭格」林芳正氏を抱え続けている。ようするに、危機感が薄いのだ。