法廷から 3度目の懲役 「週末の赤チャリ男」の異常な性衝動

週末の深夜に赤い自転車で徘徊(はいかい)し、泥酔していた女性を襲ったとして強制わいせつ致傷罪に問われた50代の男に対し、大阪地裁(渡部市郎裁判長)は1日、懲役6年の実刑判決を言い渡した。昨年9月の逮捕前から、大阪府内で同様の被害が度々確認され、捜査員の間での呼び名は「週末の赤チャリ男」。過去にも犯行を重ねて逮捕、起訴されており、精神鑑定で「抑制できない」と指摘された性衝動を治療で克服するという約束は、ほごにしていた。再び更生と治療を誓う男だが、その言葉は信用できるのか。
背後から引き倒され…
「痛い!」
昨年8月28日午前3時半ごろ、夜明け前だった大阪府守口市内の路上に、20代女性の叫び声が響いた。
泥酔してベンチで休んでいたところを、背後から抱きかかえられ、引き倒された。パニックに陥る中、下着を無理やり脱がされ、抵抗のはずみで腕やひざを負傷。逃げる男を警察に突き出してやりたかったが、大声を出すのが精いっぱいだった。
ただ、付近の防犯カメラは、男を捉えていた。赤い自転車で女性の周りをうろつき、のぞき込んだり背中をさすったりする様子から、警察は男の身元を特定。犯行から6日後の9月3日、強制わいせつ致傷容疑で、当時53歳だった無職の男を逮捕した。
8カ月前に出所したばかり
警察は、男が同様のわいせつ行為を繰り返したとみて捜査を進めたが、起訴にこぎつけたのは、この事件1件のみ。検察側は公判で全容を明らかにするため、証拠が不十分で起訴されなかった事件や、過去の事件にも踏み込んだ。
「出所した後の犯行件数は?」。検察官の問いかけに弁護人は、「今回の1件だけではないと、本人が言っている」と説明。男は逮捕の約8カ月前に刑務所を出所したばかり。「(これまでにも)かなりの件数の罪を犯した」とも明かした。
30代の頃、ストレスが蓄積して路上で見知らぬ女性の胸を触ったことに快感を覚え、以来、外出先でわいせつ行為を繰り返したとされる。性犯罪を犯して刑務所に収監され、精神鑑定で「性嗜好(しこう)異常や性的な欲求を抑制できない」と指摘された経緯があった。
前回の犯行では、刑務所を出た後に専門の医療機関を受診することなどを公判中に約束した。しかし守られず、再び女性を襲っていた。
治療せず風俗店利用
男は今回の逮捕後、被害女性に対し「(被害者が)苦しみ、悲しむ気持ちを考えることなく何度も同じ過ちを繰り返してきた」「問題から逃げてばかりで、周りのせいにして向き合おうとしなかった意志と精神の弱い人間です」などと記した謝罪文を送った。
公判で男は、再び治療の意志を示し、神妙な面持ちで臨んでいたが、男の言葉を簡単には信用できない。
建設や解体の仕事が長続きせず金に困り、専門の医療機関を受診できなかったと述べたが、検察側からの指摘で、派遣型性風俗店(デリバリーヘルス)を10回以上利用したことが明らかになった。
判決で大阪地裁の渡部裁判長は「更生のためにほとんど何も取り組まず、出所後わずか8カ月で犯行に及んだ」と男の所業を厳しく指弾。質問を受けた際に「(治療などを)死に物狂いでがんばる」と誓った被告の言葉には、こう返した。
「3度目の服役となることの意味を十分に理解し、反省の気持ちを持ち続けられるかどうかにかかっている」(地主明世)