石川県能登地方で19日に震度6弱、20日に震度5強を観測した地震は、群発地震の一連の活動とみられる。現地で観測を続ける研究チームは、地下深くから上昇した水などの流体が、地震を引き起こす断層面に入り込み、断層がすべりやすくなっている可能性を指摘する。さらに大きな地震を起こす海底活断層の破壊につながる恐れもあるという。
能登地方では2018年ごろから地震が増え始めた。気象庁によると、20年12月から22年6月20日までに発生した震度1以上の地震は160回を超える。
京都大防災研究所や金沢大の合同研究チームは、主に二つの原因を指摘する。
一つは、地下に水などの大量の流体がたまって膨張し、周囲の地盤を押すような力が加わっていることだ。国土地理院によると、最大震度6弱を観測した同県珠洲(すず)市の地表面は、20年12月以降、約4センチ隆起した。
もう一つは、断層のすき間に入り込んだ流体が断層を押し広げ、すべりやすくなっているとみられることだ。22年になって隆起は収束する傾向にあるが、地震の数自体は増えている。金沢大の平松良浩教授(地震学)は「二つの原因のうち、最近は断層面に流体が入り込み、潤滑油のような役割を果たしている傾向がより強く見られている」と話す。
京都大の西村卓也准教授(測地学)は、能登半島の地下にある流体の量が、20年12月からの1年間で約200万立方メートルに達したとみている。これは国内の活動的な火山が1年間に蓄えるマグマの量に相当する。能登半島の地下深くに沈み込んでいる太平洋プレートから高温高圧でしみ出した水などが上昇したとみられる。
地下の流体が群発地震を起こした例は、1965~70年に長野県で発生した「松代地震」が知られる。最終的に大量の水が地表に噴き出して沈静化した。松代地震の方が今回よりも震源が浅いという違いはあるが、西村さんは「能登半島の地震の震源は徐々に浅くなっている。地下の流体の上昇とともに震源が浅くなり、地表に大きな揺れをもたらす地震が起こりやすくなっているのではないか」と注意を呼びかける。
能登半島の北岸には、1729年の能登・佐渡地震(マグニチュード=M=6・6~7)や2007年の能登半島地震(M6・9)などを引き起こした海底活断層がある。これに流体が入り込むことも懸念されるという。
平松さんは「流体の影響でM7級の地震が起こる可能性も否定できない」と指摘。今後の地震活動については「数カ月か数年以上かは分からないが、まだまだ続くと予想される」と話した。
気象庁は20日の臨時記者会見で、同日の震度5強の地震は19日の地震の震源の約5キロ東を震源に発生したと発表した。鎌谷紀子・地震津波監視課長は「1年以上続いている中で起きた地震で、本震、余震も分からない。一連の地震が長く続く中で起きた。今後も続くと思われるので、特に寝室では倒れてくるものがないようにしてほしい」と呼びかけた。【垂水友里香、池田知広】