出火直後に室温460度=大阪ビル火災で報告書―総務省消防庁

総務省消防庁は22日までに、大阪市北区の雑居ビルで26人が死亡した放火殺人事件の火災調査報告書を公表した。報告書に盛り込んだシミュレーション結果では、ガソリンがまかれたクリニック出入り口付近の待合室の温度が、出火直後に約460度まで上昇。数分で致死量の一酸化炭素(CO)濃度に達していたことが分かった。
事件は昨年12月17日、雑居ビル4階にあるクリニックで発生。消防庁は同日から1月13日まで現地調査をした上で、火災のシミュレーションを行った。
それによると、出火から60秒で、待合室から最も奥の診察室までクリニック全体に黒い煙が充満。90秒後にはほぼ視界ゼロになった。待合室の温度は高さ1.8メートル地点で、出火から20~30秒で約460度に到達した。
空気中のCO濃度は、待合室が出火2分後、廊下や診察室は同3~4分後に、致死量の1000ppmを超えたとみられることが分かった。報告書は「数分で意識不明、死亡する可能性がある」と指摘した。
消防庁は報告書で、クリニック内部の画像も初めて公開。出火場所近くの天井が黒く焦げ崩落している様子が確認できた。
[時事通信社]