実業家の前澤友作さんが、自分の名前を無断で使用した「なりすましアカウント」の発信者情報の開示をもとめていた裁判で、東京地裁はこのほど、10のアカウントの電話番号やメールアドレスの開示をツイッター社に命じた。判決は6月13日。 プロフィール欄に「偽物」と書かれたアカウントでも、氏名を勝手に使用されない権利を侵害したとして、開示対象となった。 ●ツイッターでの「お金配り」をきっかけに「なりすまし」が続出 裁判記録によれば、前澤さんは2019年1月、「100人にそれぞれ100万円ずつ(総額1億円)のお年玉をプレゼントする」とツイートして以降、「お金配り」という事業を継続的におこなっている。 今回、前澤さんがプロバイダ責任制限法にもとづいて開示をもとめた11の偽アカウントは、いずれもユーザー名に前澤さんの名前、本物のアカで当時使っていた似顔絵を使用していた(のちに1つのアカウントについて訴えを取り下げた)。 【なりすましアカウントについて注意を呼びかける2020年9月のツイート】 その一部は「お金配り」「お金配りおじさん」などとプロフィール欄に記したり、投稿したりしていた。 前澤さんは訴状で、これらなりすましアカウントについて「フォローに誘導し、個人情報などの流出の可能性や、詐欺等の犯罪を企図している可能性も否定できない」などと訴えた。 また、これまでの営業上の信用を失い、同種のなりすましアカウントを監視するための活動をするなど、不利益をこうむっているとして、「原告および社会が被る不利益の程度は重大」と主張していた。 東京地裁は、ユーザー名に前澤さんの名前を使ったうえ、「お金配り」など前澤さんによる事業を想起させる記載があり、同じ似顔絵を用いているといった事情から、前澤さんとなりすましアカウントの名称の同一性や類似性が認められるとした。 そのうえで、双方の識別可能性は相当程度に阻害されており、前澤さん自身がこれら偽アカウントを使用しているものと誤認混同するおそれは相当に高いと判断。氏名を勝手に使用されない権利を侵害されているとして、10のアカウントの情報開示を命じた。 なお、開示が命じられなかった1つのアカウントについては、開示情報として「電話番号」を追加した省令改正(2020年8月31日)の適用前の投稿のためだ。 ●前澤さんが認証アカウントだからといって判断に影響はない ツイッター社側は、本物と偽アカウントが誤認混同されるおそれはないとして、請求の棄却をもとめていた。だが、ツイッター側の以下の主張は認められなかった。
実業家の前澤友作さんが、自分の名前を無断で使用した「なりすましアカウント」の発信者情報の開示をもとめていた裁判で、東京地裁はこのほど、10のアカウントの電話番号やメールアドレスの開示をツイッター社に命じた。判決は6月13日。
プロフィール欄に「偽物」と書かれたアカウントでも、氏名を勝手に使用されない権利を侵害したとして、開示対象となった。
裁判記録によれば、前澤さんは2019年1月、「100人にそれぞれ100万円ずつ(総額1億円)のお年玉をプレゼントする」とツイートして以降、「お金配り」という事業を継続的におこなっている。
今回、前澤さんがプロバイダ責任制限法にもとづいて開示をもとめた11の偽アカウントは、いずれもユーザー名に前澤さんの名前、本物のアカで当時使っていた似顔絵を使用していた(のちに1つのアカウントについて訴えを取り下げた)。
【なりすましアカウントについて注意を呼びかける2020年9月のツイート】
その一部は「お金配り」「お金配りおじさん」などとプロフィール欄に記したり、投稿したりしていた。
前澤さんは訴状で、これらなりすましアカウントについて「フォローに誘導し、個人情報などの流出の可能性や、詐欺等の犯罪を企図している可能性も否定できない」などと訴えた。
また、これまでの営業上の信用を失い、同種のなりすましアカウントを監視するための活動をするなど、不利益をこうむっているとして、「原告および社会が被る不利益の程度は重大」と主張していた。
東京地裁は、ユーザー名に前澤さんの名前を使ったうえ、「お金配り」など前澤さんによる事業を想起させる記載があり、同じ似顔絵を用いているといった事情から、前澤さんとなりすましアカウントの名称の同一性や類似性が認められるとした。
そのうえで、双方の識別可能性は相当程度に阻害されており、前澤さん自身がこれら偽アカウントを使用しているものと誤認混同するおそれは相当に高いと判断。氏名を勝手に使用されない権利を侵害されているとして、10のアカウントの情報開示を命じた。
なお、開示が命じられなかった1つのアカウントについては、開示情報として「電話番号」を追加した省令改正(2020年8月31日)の適用前の投稿のためだ。
ツイッター社側は、本物と偽アカウントが誤認混同されるおそれはないとして、請求の棄却をもとめていた。だが、ツイッター側の以下の主張は認められなかった。