暑さが厳しさを増す中、近畿や中四国、北陸は28日、異例の早さで梅雨明けを迎えた。水不足や熱中症への不安が高まる一方、観光地では本格的な夏の到来を歓迎する声も出ている。
四国の水がめといわれる早明浦(さめうら)ダム(高知県)では同日、貯水率が約35%まで低下。吉野川水系からの取水量を減らす「取水制限」を既に実施しているが、貯水率が30%程度になれば、香川と徳島両県への供給を5割まで減らす予定だ。
ダムによる利水は、生活用水の他、工業や農業にも使われる。中国四国農政局によると、一部地域で田植えが遅れるなどしたが、今のところ影響はわずかだ。ただ、担当者は「今後も雨が降らないと作物の成長に影響する」と案じる。
早明浦ダムでは1994年に貯水率がゼロとなり、香川県では給水を1日5時間に限定したり、夜間断水を実施したりした。当時を知る高松市の無職、片山美代子さん(69)は「次の日のトイレや顔を洗うための水をバケツにためるのが大変だった。庭木もみんな枯れてしまった」と振り返り、「断水だけはもうしてほしくない」と心配する。
香川では学校や家庭で節水教育がされているといい、「普段から洗面器に水をためて顔を洗ったり、歯磨きや皿洗いでは蛇口をこまめに閉めたりしている。今後は植木の水やりも減らすかもしれない」と話した。
和歌山県白浜町の宿泊業者は、史上最速の梅雨明けを歓迎する。町は今年、白良浜海水浴場を6年ぶりに2カ月早め、5月に海開きをしたところだ。
町内22施設が加盟する白浜温泉旅館協同組合によると、加盟施設の5月の宿泊者数は前年比2・3倍。新型コロナウイルス禍前の4分の3程度まで戻っているという。沼田久博理事長は「海開きを早めたことも復調の一因」とみる。
沼田理事長が経営する旅館でも7~8月の予約が前年より大きく伸びているといい、「白浜は夏に向けて早くから準備してきた。7~8月は宿泊単価が高い。早い梅雨明けは大きな追い風だ」と期待する。
エアコンの注文殺到、かき氷店もにぎわい
大阪市中央区のビックカメラなんば店では28日、エアコン売り場を訪れる客が相次いだ。会社員の男性(36)=同市住之江区=は「自宅のエアコンが故障した」といい、1台購入。注文が殺到しているため設置工事は2週間待ちとなったが、「扇風機を使って気合で乗り切ります」と話した。ビックカメラによると、暑さが厳しくなってきた18日ごろから全国でエアコンの販売台数が増加。売り上げは昨年同期の約2倍になっているという。
若者らでにぎわうJR鶴橋駅近くのカフェ「シャンインティー」(同市東成区)はフルーツやアイスをふんだんに使ったかき氷が人気で、この日も満席。店員の女性(35)は「長い夏をかき氷を食べて乗り切ってほしい。売り上げも増えたらうれしい」と笑顔を見せた。【西本紗保美、竹内之浩、高良駿輔、山田毅】