「過重労働で適応障害」実名公表の高校教諭勝訴 大阪府に賠償命令

大阪府立高校の世界史教諭、西本武史さん(34)が長時間労働で適応障害を発症したとして、学校を運営する大阪府に慰謝料など約230万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は28日、適切な勤務管理を怠った結果、適応障害を発症したことを認め、府に請求通り全額の支払いを命じた。西本さんは発症前に業務量の改善を何度も訴えており、横田典子裁判長は当時の校長の対応について「抜本的な負担軽減策を取らなかった」と批判した。
公立学校の現役教諭が実名を公表して自治体を訴えるのは極めて異例。
西本さんは2012年に採用され、16年から現在の学校で世界史を教えていた。しかし、17年度はクラス担任やラグビー部の顧問に加え、夏にはオーストラリアで実施される生徒の語学研修の引率も命じられた。語学研修から戻った後の17年9月以降、西本さんは体調不良で計約4カ月半の休職を余儀なくされた。
判決はまず、当時の勤務状況や体調を踏まえ、西本さんは出国前の17年7月には適応障害を発症していたと認定。直前1カ月間の時間外労働は「過労死ライン」を上回る約112時間で、「心身の健康を害する強度の心理的負荷があった」と指摘した。
西本さんは適応障害を発症する直前、校長にメールなどで「体も精神もボロボロです」「オーストラリアに行く前に死んでしまう」などと訴えたが、校長は「休める時に休んで」と声をかけるだけで具体的な措置を講じなかったという。横田裁判長は校長が適切な勤務管理を怠ったとして、「安全配慮義務違反が認められる」と結論付けた。
判決を受け、吉村洋文知事は「府にとって厳しいものと受け止めている。今後の対応は判決内容を精査した上で、教育委員会と検討していく」との談話を出した。【山本康介】