参院選(7月10日投開票)の主要テーマに「電力危機」が浮上してきた。梅雨空けの炎天下で電力需要が逼迫(ひっぱく)して、国民生活や企業活動を直撃する大規模停電を招きかねないのだ。参院選の論戦でも、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰や、原子力発電所の再稼働など争点とすべき課題は多い。岸田文雄政権だけでなく、与野党を判断する基準となりそうだ。
「電力危機は、国民の怒りに直結する。電力不足は前から分かっていた。天候に左右され、不安定な太陽光などの再生エネルギーを推進し、原子力発電を根拠なく否定する『不合理』を放置してきた。電力不足の本質に無関心な国民、放置してきた政治の責任だ」
経済評論家の渡邉哲也氏は厳しく指摘した。
日本各地では28日も猛暑日となり、東京電力管内では電力需給が厳しくなる見通しだ。政府は27日以降、家庭や企業に節電を求める「注意報」を東京電力管内で初めて発令している。
29日には、北海道、東北、東京の各電力会社管内でも電力需給が厳しく、国民は熱中症に注意しつつ、節電を気にして冷房を使用する〝苦痛〟を強いられる。
経済ジャーナリストの荻原博子氏は「数カ月前から電力不足は分かっていた。人命がかかっているのに、いまさら『節電ポイント』などと打ち出すのは無策の極みだ。なぜ、原発再稼働などを真剣に議論してこなかったのか。選挙向けの『リップサービス』は不要だ」と指摘する。
電力不足の背景は、脱炭素化に伴う再生可能エネルギーの導入拡大を受けた火力発電所の稼働率低下などもある。クリーンエネルギーの旗振り役だった欧米は、ロシアによるウクライナ侵攻による資源高を受け、火力発電や原発にシフトした。
日本の参院選でも、原発再稼働を含め、エネルギー安全保障は重要な争点のはずだ。
渡邉氏は「原発再稼働は、直接的には知事の同意が必要だが、政府は、国民への説明と自治体への説得をしてこなかった。ゼロリスクなどあり得ず、原発の高い安全性を踏まえた事故リスクと、電力不足による停電で死者が出るリスクを科学的に比較・分析し、世論に提示するのも与野党の責任だ」と語った。