漁船「第五福竜丸」が
被曝
(ひばく)した米国の水爆実験の痕跡とみられる微量の放射性物質が、大分県沖・別府湾の海底の
堆積
(たいせき)物から確認されたと、東京大などの研究チームが1日、発表した。別府湾の海底は、人類の活動が大きな影響を及ぼした新しい地質時代「人新世」に関する基準地の候補になっており、重要性を裏付ける成果だという。
別府湾からはこれまで、農薬やマイクロプラスチックといった現代社会の産物も確認されている。
チームの横山
祐典
(ゆうすけ)・東大教授(地球システム学)らは、別府湾の海底堆積物の成分や年代を分析し、1950年代半ばの地層に放射性物質のプルトニウムが含まれていることを確認した。太平洋のマーシャル諸島で54年3月に実施され、第五福竜丸が被曝した「ブラボー実験」で拡散したプルトニウムが、黒潮に乗って別府湾に流れ込んだとみられるという。
国際地質科学連合は、人類が地球に甚大な影響を与えている地質学上の時代を「人新世」に位置づけるための議論を始めている。別府湾は、メキシコ湾、カナダの湖、南極などとともに人新世の基準地の候補になっている。正式な基準地は、来年以降に決まる見通しだ。
論文が1日付の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。
坂口綾・筑波大准教授(環境放射化学)の話「別府湾の堆積物からごく微量のプルトニウムを『人類の核活動』の指標として復元するとともに、別府湾が地球環境の優れた『歴史書』であることを世界に知らしめる重要な成果だ」