沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域に4日、中国海軍とロシア海軍のフリゲート各1隻が相次いで侵入した。中露の艦艇が同じタイミングで尖閣周辺に接近するのは、2016年以来の特異な動向だ。日本は外交ルートで厳重に抗議したが、権威・独裁主義国家である中露の軍事的恫喝(どうかつ)は常態化しつつある。参院選(10日投開票)終盤に強行された暴挙に、官邸や防衛省などは警戒を強めている。
「中露の軍事的な連携はますます深まり、こわもての『ならず者連合』『悪の枢軸』さながらだ。継続的、常態的に日本への圧力を高めるだろう」
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授はこう警鐘を鳴らす。
防衛省によると、中国海軍のフリゲート艦が4日午前7時44分ごろから同50分ごろ、魚釣島南西の接続水域に入った。直前の同日午前7時5分ごろには、ロシア海軍のフリゲート艦が同海域に入り、中国艦が接続水域を出た後の午前8時16分ごろまで航行した。
中露艦艇がほぼ同じ時間帯に尖閣周辺の接続水域に入るのは16年6月以来で、日本は外交ルートで「重大な懸念」を表明したうえで抗議した。
今回の〝暴挙〟の狙いはどこにあるのか。
島田氏は「台湾侵攻を念頭に置く中国にとっては、有事も想定した示威行動だ。ウクライナ侵攻後に中国と連携を強めるロシアは、尖閣の『実効支配』アピールを狙う中国に乗ったかたちだ。示し合わせた行動だろう」と分析する。
ロシア艦は、台風4号の高波を避けるため接続水域へ入ったとの分析もあるが、中国艦はロシア艦の航行に沿うように航行した。
防衛関係者も「米国は、中露の過剰な海洋権益の主張に対抗して艦船を派遣する『航行の自由作戦』を行っている。今回は『中露版・航行の恫喝作戦』ともとれる」と指摘する。
実際に、日本の神経を逆なでするような軍事行動は繰り返されている。
先の大戦で激戦地となった沖縄の「慰霊の日」(6月23日)に合わせ、中国空軍の爆撃機3機が沖縄周辺に飛来し、沖縄本島と宮古島の間の海域を抜け、東シナ海と太平洋を往復した。
ロシアも、不法占拠された北方四島の返還を求める日本の「北方領土の日」(2月7日)にあわせて大規模な演習を行った。
中露の連携も緊密だ。ロシアがウクライナに侵攻した後の5月、中露の爆撃機が編隊飛行し日本周辺を長距離飛行した。6月には中国艦がロシア艦の後を追うかたちで、艦艇計8隻が日本列島を周回している。
島田氏は「安倍晋三元首相は『台湾有事は日本有事で、日米同盟の有事でもある』と指摘した。折しも参院選で、防衛費増額も重要な論点となっているが、日米台の連携も問われる」と強調した。