早朝の通学路でまたもや登校中の生徒が刃物に襲われた。仙台市太白区の路上で、女子中学生2人が男に包丁で刺された事件。人通りの多い通勤通学時間帯の住宅街で起きた突然の凶行に、地域住民に衝撃が走った。(石崎慶一、橘川玲奈、宮野佳幸)
現場近くの住民によると、襲われた女子生徒は、現場から数十メートル逃げ、民家の玄関先に倒れ、もう1人の女子生徒は左肩から血を流し、女性に抱きかかえられながらうなだれていたという。目撃した60代の自営業の女性は「通り魔だと思い、とても怖かった」と振り返った。
住民によると、この地区は、小中学校のPTAや町内会などが協力し、月に2回、登校時間を見守りを行っていたという。地域の防犯協会会長の岩山浩一さん(78)は「穏やかな住宅街で、こんな事件が起きてショックだ。協会として子供の見守りに力を入れていきたい」と話した。
女子生徒が通う市立中では、部活は中止となり、午後3時40分ごろ、一斉に帰宅。車で生徒を迎えに来る保護者の姿もあった。教職員が通学路に立ち、生徒らの下校を見守ったほか、学区内を巡回した。
学区内に住むパート女性(51)は小学5年の長女のスイミングのバス停まで送迎し、「普段は子供だけで行かせるが今日は念のため来た。あのような形で襲われるのは、気を付けようがない」と不安がった。
今回の事件のように、登下校中の子供が襲われる事件は各地で相次いでいる。
令和元年5月には、川崎市多摩区で登校のためスクールバスを待っていた私立カリタス小の児童たちが襲われ、2人が死亡、18人が重軽傷を負った。平成29年には千葉県松戸市で登校中だった女児=当時(9)=が殺害され、女児が通う小学校の保護者会長の男が逮捕された。30年には新潟市で下校中の小学2年の女児=(7)=が男に殺害され、遺体はJR越後線の線路に遺棄された。
警察庁によると、13歳未満の子供が通学路などで切り付けや暴行、性犯罪などの事件に巻き込まれた件数は25年に774件だったが、昨年は448件。自治体や学校による安全対策の強化などで年々減少しているが、事件がなくなることはない。
子供を狙った犯罪について研究しているステップ総合研究所の清永奈穂所長は「子供の後をつける、じっと見つめるなどの、前兆事案の発生について地域と学校、家庭で情報を共有することが重要だ」と強調する。前兆事案を見逃さず、保護者らの見守りを一時的に増やしたり、警察や自治会に連絡しパトロールを強化したりするなどの対策が有効だという。
また、事件を想定して巻き込まれた場合の対処方法を家族で話し合うほか、物を投げたり、声を出したりする練習をするなど体験的な学習をすることも重要だと指摘。「見つめてくる人には注意する」など、子供に不審者について具体的に伝えてほしいと話した。