各党党首「テロに屈しない」 安倍氏銃撃で言及、喪章つけ演説

与野党の各党首は9日、参院選の街頭演説で、安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件に言及し、「テロに屈しない」などと訴えた。事件が発生した8日は共産、れいわ新選組、社民3党を除く各党党首が急きょ遊説を取りやめたが、9日は再開した。
岸田文雄首相(自民党総裁)は山梨県富士吉田市で、左腕に喪章をつけて演説した。遊説を中止すべきだとの意見もあったと明かした上で「安倍元首相の思いを受け止め、民主主義を守るために、参院選を自由で公正で安全な形で完結させる責任が私にはある」と語った。立憲民主党の泉健太代表は福島市で「強い喪失感というか、昨日まで戦っていた大きな政治家が今はこの世にいないことを大変重く受け止めている」とし「我々はテロに屈してはならない」と力を込めた。
公明党の山口那津男代表は川崎市で「誰しもが予想しなかったことが起き、安倍氏が凶弾に倒れた。暴力には断じて屈しない思いで、参院選をやり抜く」と表明。日本維新の会の松井一郎代表は京都府亀岡市で「選挙は民主主義の根幹で、この国の将来を選んでもらう大事な判断の場所だ。テロ行為に屈することなく、政策を訴えさせていただきたい」と述べた。
共産党の志位和夫委員長はさいたま市で「このようなテロがばっこする世の中に決してさせない」と訴えた。国民民主党の玉木雄一郎代表は東京都品川区で「どんなことがあっても、暴力により言論が封殺されてはならない」と指摘した。
れいわ新選組の山本太郎代表は東京都立川市で「暴力に対してマイクを切るわけにいかない」と強調。社民党の福島瑞穂党首は東京都新宿区で「暴力で問題を解決してはならない。全ての暴力に反対し強く抗議する」とし、NHK党の立花孝志党首は東京都千代田区で「本当に複雑な思いだ。政治家は命がけだ」と述べた。【菊池陽南子、畠山嵩】