安倍氏の地元・下関の事務所に献花台 「ショックで眠れなかった」

山口県下関市にある安倍晋三元首相の地元事務所には9日午後、献花台が設置された。事務所には安倍氏ゆかりの人や市民など大勢の人が訪れ、安倍氏の写真が飾られた献花台に花を供え、冥福を祈った。
後援会員で約15年前に娘の仲人をしてもらったという、新日配薬品(本社・下関市)の右近保社長(78)は「(昨夜は)ショックで眠れなかった。言葉がない」と悲痛な思いを吐露した。安倍氏とのエピソードは山ほどあるといい「官邸に行ったことも、プライベートで下関の自宅を訪れたこともある。本当に残念だ」と突然の別れを惜しんだ。
2016年発足の第3次安倍再改造内閣で地方創生担当相を務めた山本幸三氏(73)は献花後、「残念で、悔しくて仕方がない」と胸の内を語った。安倍氏とは6月1日に東京・永田町で経済政策を考える勉強会で会ったのが最後で、7月15日には福岡市での勉強会に講師として招く予定だったという。「これからも日本にとって必要な人材で、強力なリーダーシップを取れる人は安倍氏をおいて他にいなかった」と悼んだ。
同県防府市の池田豊市長(65)は午後3時過ぎ、事務所を訪れた。献花後、毎日新聞の取材に「まだ、信じられないという気持ちだ」と語った。
安倍氏とは、県職員として県の東京事務所で勤務していた時代から交流があったという。池田市長は「若い時から頻繁に気にかけてもらい、市長となってからも相談などに乗ってもらった。急な別れで整理がつかないが、感謝の思いでいっぱいだ」と悼んだ。
安倍氏と最後に会ったのは、4月に山口市で開かれた自民党県連での集会だったといい「日本が元気を取り戻して立派な国になることも、供養になるのでは」と続けた。
下関市議会の亀田博議長は「昔の思い出話などをした」と語り、香川昌則市議は「日本や世界を引っ張ってこられた安倍先生。本当に悔しい」と沈痛な面持ちで語った。
下関市幸町で事務員の小原綾子さん(38)は「安らかに休んでください、という気持ちを込めて献花台で手を合わせた」と目を潤ませながら話し、同県宇部市から献花に来た男性(56)は「本当に無念で仕方がない。山口県民として、立派で尊敬する議員だった」と涙を流した。
花束を持って訪れた熊本市の会社役員、垂見和子さん(66)は「本当にありがとうございました。これからは、より良い日本、世界を創っていけるように見守ってくださいという気持ちで献花した」と静かに話した。宇部市の50代男性は「献花台の中央には、安倍元総理が笑みを浮かべているような写真が飾られていて、その前には多くの花、飲み物や果物も置かれていた。突然の別れで皆、つらい様子だった」と沈痛な面持ちで語った。【部坂有香、大坪菜々美、林大樹】