【独自】男「殺すために銃・爆弾作成」「遊説先つけ回した」…宗教団体の名挙げ不満も

8日午前11時半頃、奈良市西大寺東町の近鉄大和西大寺駅前の路上で、参院選の街頭演説中だった自民党の安倍晋三・元首相(67)が、背後から近づいた男に銃撃された。首などを撃たれており、同日午後5時3分、救急搬送先の病院で死亡した。安倍氏は、戦後最年少の52歳で首相になり、通算の在職日数3188日は歴代最長だった。
奈良県警は現場にいた無職、山上徹也容疑者(41)(奈良市大宮町)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。殺人容疑に切り替えて調べる。捜査関係者によると、調べに「安倍元首相を殺すため銃を作って狙った。爆弾も作っていた。とにかく殺そうと思って遊説先をつけ回していた」と供述しているという。
動機について、特定の宗教団体の名前を挙げて不満を述べ、安倍氏も関係していると独自の主張をしている。一方で「安倍氏の政治信条に対する恨みではない」とも供述している。
安倍氏が搬送された奈良県立医科大学付属病院(橿原市)によると、喉のあたりに2か所の傷があり、体内に入った弾で心臓などが損傷したという。死因は失血死とみられる。
安倍氏は8日午前11時29分、10日投開票の参院選に向けて、路上に置かれた台の上で自民党公認候補の応援演説を始めた。その約2分後、背後から近づいた山上容疑者に銃撃された。1発目の銃声が聞こえ、安倍氏が振り返ったところ、2発目が喉に命中したという。
凶器は当初、散弾銃とみられていたが、県警が現場で発見したのは長さ約40センチの手製の銃だった。県警は山上容疑者宅を捜索し、手製の銃を数丁とパソコンを押収した。

県警の記者会見の説明では、山上容疑者はインターネットで安倍氏が現場を訪れることを知ったと供述している。警察関係者によると、現場では県警や警視庁の警護員(SP)らが警備にあたっていた。県警の中西和弘刑事部長は「今後確認を進め、問題があれば、適切に対処する」と述べた。
防衛省関係者によると、山上容疑者は2002~05年の3年間、任期制自衛官として海上自衛隊に勤務していた。