【参院選】安倍晋三元首相が凶弾に倒れた奈良選挙区の佐藤啓氏、2選確実も「うれしいという気持ち全くない」

安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃された際、隣で応援演説を受けていた自民現職・佐藤啓氏は10日、奈良選挙区(改選数1)で2選を果たした。会見では「安倍元総理は自らの政治理念や政策実現へ、真の意味で戦い抜く方と思っていた。私は遺志を継げるような政治家ではないし、そのレベルには至らず、おこがましいが、微力ながら憲法改正を中心にその思いに応えたい」と話した。
午後8時過ぎに早々と当選を確実にすると、選挙事務所に車で駆け付け、関係者とあいさつ。その約30分後に事務所で一人で報道陣に対応した。「うれしいという気持ちは全くない」としたが「厳しい選挙となったが、心ひとつに勝ち抜くことができた。安倍元総理が凶弾に倒れる事態があったが、テロにひるむことなく、臆することなく最後まで選挙戦を戦った。この結果を、あす上京して(通夜で)安倍元総理にしっかりお伝えしたい。これまでご指導いただいた経験を生かして、この国のために全力で働かせていただきたい」と決意を込めた。
佐藤氏は事件前の6月28日にも奈良市、生駒市で応援を受けており、選挙戦は「安倍元総理の大きな後押しがあったことは間違いない」。安倍氏死去後の心境は「大変悲しくて言葉になりませんが、しっかり前を見つめて最後まで勝ち抜こうという気持ちでやらせてもらった」と話した。
選挙事務所では、安倍氏や岸田文雄首相らの激励の言葉が書かれた「為書き」が10日午前にすべて外されており、当選確実となっても、選挙戦でおなじみのバンザイ三唱などのセレモニーは行わなかった。