安倍元首相の通夜に市民らも…「体調が悪い中、精いっぱい日本を引っ張ってくれた」

安倍晋三・元首相の通夜が11日、東京都港区の増上寺で営まれた。岸田首相をはじめ自民党の茂木幹事長ら党役員のほか、来日中のイエレン米財務長官ら国内外の約2500人が参列。ゆかりの市民も訪れ、安倍氏の死を悼んだ。
「突然こんな形で亡くなってしまい、寂しい」。焼香を終えた東京都大田区の保険代理業の男性(72)は、そう語った。秘書の紹介で安倍氏と知り合ったのは、自動車販売会社に勤めていた約30年前だった。
「この車は頑丈ですよ」と国産の高級車を薦めると、「それはいいね」と笑い、購入してくれた。それ以来、付き合いを続けてきた男性は「政治の場では、はっきりと物を言うが、普段は物腰の柔らかい優しい方だった」と惜しんでいた。
寺の敷地内には、献花台が設けられた。満面の笑みを浮かべた安倍氏の遺影が飾られ、スーツ姿の男性や家族連れ、若い男女など多くの人が花を手向けていた。中には、目頭を押さえる女性の姿もあった。
献花に来た東京都台東区の洋服店経営の女性(54)は約20年前、遊説中に握手をしてもらった際の手のぬくもりを今でも覚えている。「優しい人柄が大好きだった。体調が悪い中、精いっぱい日本を引っ張ってもらったことへの感謝を伝えたかった」と話した。
安倍氏の葬儀は12日に近親者らで執り行われ、お別れの会が後日、開かれる。自民党は11日、東京・永田町の党本部に記帳台を設け、この日は多くの人が献花に訪れた。15日まで設置する。