祖父の「旧岸邸」に記帳所、700人が安倍氏悼む 静岡・御殿場

安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、安倍氏の祖父、岸信介元首相の私邸だった「東山旧岸邸」(静岡県御殿場市)に13日、記帳所が設けられた。初日は約700人が訪れ、「安らかに眠ってほしい」との思いを胸に、手を合わせて突然の訃報を悼んだ。
御殿場市は、市民の要望を受けて、安倍氏とゆかりのある旧岸邸と市役所の2カ所に記帳所(いずれも15日まで)を開設した。
旧岸邸で記帳した、同市内に住む元陸上自衛隊員の男性(83)は「無念でならない。平穏な毎日を過ごせるのは安倍さんの尽力が大きい」と語った。憲法への自衛隊明記を掲げた実績も評価した。同市内の60代の女性経営者は「大変残念。悲しみしかない。安らかに眠ってもらいたい」と涙をぬぐった。
10日投開票の参院選で自民党候補として初当選を果たした元市長の若林洋平氏も、市役所の記帳所を訪れた。
市によると、岸氏は昭和45年、御殿場市に転居し、晩年を過ごした。邸宅を岸氏の娘で安倍氏の母、洋子さんから寄贈を受けた市は一般公開し、岸氏の膝の上にいる幼少期の安倍氏のパネル写真などを展示。安倍氏は生前、岸邸に何度か足を運んでおり、「晋三とゴルフに行った」などと記した岸氏の日記(非公開)が保存されている。首相時代も夏季休暇を利用し、訪れていたという。