東北新幹線では「非常に珍しい」…クマがフェンス乗り越え、高架上の線路へ

12日午前9時15分頃、新函館北斗・秋田発東京行きの東北新幹線「はやぶさ・こまち10号」が、くりこま高原―古川駅間にある栗原市の線路上でクマ1頭と衝突し、緊急停車した。乗客約420人と乗務員6人にけがはなかった。クマは線路の間で死んでいた。
JR東日本新幹線統括本部によると、運転士が異常音を感知して停車させ、点検後の午前9時47分に運転を再開。乗客は仙台駅で別の列車に乗り換えた。この影響で、東北新幹線の上下5本に最大56分の遅れが出て、約1500人に影響した。
JR東によると、総延長674・9キロの大部分が高架上を走る東北新幹線がクマやシカなどの動物と衝突した記録は過去3年間でゼロ。在来線と同じ線路を走る秋田、山形新幹線では頻発するが、「東北新幹線では非常に珍しい」(JR東の担当者)という。
衝突現場は両駅のほぼ中間に位置する栗原市瀬峰

大鰐谷
(おおわにや)地内。高架が途絶え、線路が丘と丘の間を走る。のり面はコンクリートで固められ、丘の上はやぶ。クマはのり面上にある高さ約2メートルのフェンスを乗り越えて線路に侵入したとみられる。
クマの撤去に協力した市鳥獣被害対策実施隊と市農林畜産課の担当者によると、やぶにはクリの木もあり、獣道が複数確認された。同隊の細川淳・花山地区隊長(70)は「この辺でクマが目撃されることはあるが、今回のような衝突事故は記憶にない」と話した。