北海道・知床半島の羅臼町で、民家の飼い犬を襲い続けたとみられるクマが4年がかりで、ようやく捕獲された。駆除した個体のDNAについて北大に検査を依頼したところ、14日に、一致したと町役場に連絡があった。
駆除されたのは、最初に出没情報があった斜里町ルシャ地区にちなみ、ローマ字の頭文字を取って「RT」と呼ばれたオスのクマで、2018年から次々と飼い犬を襲っていた。
町役場によると、先月飼い犬が襲われた羅臼町海岸町でクマのフンが見つかったことなどを受け、町は先月30日に現場の住宅街に注ぐハシコイ川の上流部に箱わなを設置。今月11日朝に捕獲を確認し、町は電殺機を使って駆除した。
クマは推定10歳以上で体長約160センチ、体重約200キロ。体格やこれまで出没が相次いだ地域と近かったことから、RTの可能性があるとみて、北大の専門家に試料を送ったという。
羅臼町海岸町では、RTが18年8月の昼間に、民家で飼っていた犬2頭を襲い、飼い主が遭遇して危うく襲われそうになった。翌19年7月には民家で飼い犬3頭が襲われた。21年6月にも民家で飼っていた犬3頭が襲われた。町は複数の現場で見つかったクマの排せつ物を北大に検査してもらったところ、同一個体と判明。RTが飼い犬について、エサの少ない夏場に、簡単に手に入る食料と学習した可能性があるとして、調査、追跡を続けてきた。ただ、RTが草やぶなどを使って隠れながら民家に近づくなど、慎重かつ大胆な行動を取っていたことから、なかなか捕獲できなかった。
関係者からは
安堵
(あんど)の声も出ているが、町役場では「RTだけでなく、ヒグマが人里近くに出没することが相次いでいるので、引き続き監視するとともに対策を講じていく」と話している。