ワクチン4回目接種の対象拡大 医療・介護従事者600万人にも

厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会は22日、新型コロナウイルスワクチン4回目接種の対象について、60歳以上と基礎疾患がある18歳以上の人に加えて、医療・介護従事者にも拡大することを了承した。22日から接種可能になった。
対象拡大は第7波の流行拡大を受けた対応で、18歳以上の医療・介護従事者約600万人が新たに加えられる。ワクチンはファイザー社製とモデルナ社製を使う。医療・介護従事者を通じた集団感染による重症者の発生を防ぎ、医療提供体制への影響を最小限にする目的がある。分科会の議論では、4回目接種の対象についてさらに拡大を求める意見が相次いだ。
分科会は今秋以降、新型コロナのオミクロン株に対応したワクチンの追加接種の実施を想定し、準備することも了承した。現時点では少なくとも重症化予防を期待できることから、主な対象は高齢者などを想定している。詳細な接種対象や接種間隔などは有効性や安全性を示すデータのほか、海外の動向を基に検討する。
現在、ファイザー社とモデルナ社がオミクロン株対応ワクチンを開発している。米食品医薬品局(FDA)はこれまでのワクチンと、オミクロンの派生型「BA・4」「BA・5」にも対応した2価ワクチンを開発するようメーカーに勧告している。国内で使うオミクロン株対応のワクチンについては、今後検討する。
新型コロナワクチンは予防接種法上の「臨時接種」に位置づけられ、無料となっている。9月末が期限だが、期限を延長し引き続き無料で打てるようにする。
また、新型コロナワクチンと別のワクチンとの接種は13日以上の間隔を空ける必要があったが、インフルエンザワクチンについては、同時接種を可能とすることも決めた。【金秀蓮】
重症化予防に主眼、一般市民は対象外
新型コロナウイルスワクチンの4回目接種では、医療・介護従事者が接種対象に加えられたものの、一般市民は今のところ対象外だ。4回目接種の効果は短期間で、基礎疾患がない60歳未満の人にとっては接種で得られる利益が、高齢者に比べると少ないといった背景がある。
厚生労働省は4月、4回目接種の目的を「重症化予防」と位置づけ、60歳以上と基礎疾患がある18歳以上に対象を絞った。先行する海外のデータによると、4回目接種は感染や発症を防ぐ効果が長く続かず、海外でも対象を重症化リスクの高い人に限定している国が多いためだ。
だが、感染の「第7波」が拡大している現状を踏まえれば、短期間であっても、4回目接種によるメリットは大きいと厚労省は判断した。厚労省幹部は「4回目接種の科学的根拠は変わっていないが、環境(感染状況)が変わった」と語る。第7波の急拡大で「短期間の効果」とされていた4回目接種の評価が変わったというわけだ。
第7波で懸念されるのが、医療機関や介護施設でのクラスター(感染者集団)の発生だ。医療・介護従事者が施設内にウイルスを持ち込んでしまったり、本人が感染・発症したりすれば、さらなる医療逼迫(ひっぱく)につながる恐れもあるため、18歳以上の従事者約600万人を接種対象に加えた。
一方、政府は一般の60歳未満へ対象を広げることについて、現時点では消極的だ。60歳未満は重症化リスクが比較的低く、発熱やだるさなどの副反応のリスクもある。接種のメリットが、デメリットを上回ることを示すデータが乏しいといった事情がある。【金秀蓮、小鍜冶孝志】