山形県内では23日までに全11か所の海水浴場で海開きが行われ、海水浴シーズンを迎える。すべての海水浴場が開設されるのは3年ぶりで、多くの人出が見込まれる。ただ、沿岸部では沖に向かって速く流れる「離岸流」による水難事故が過去10年で10件あり、死亡事故も2件起きた。酒田海上保安部は今夏、一部の海水浴場で離岸流を確認する調査を実施し、注意を呼びかけている。(中田隆徳)
離岸流は、海岸に打ち寄せられた波が、強い勢いで沖に戻る際に発生。一般的に遠浅の海や、突堤などの人工物付近で発生しやすいとされる。幅が10~30メートル程度になり、秒速約2メートルと「五輪出場の競泳選手でも逆らえない」(同保安部担当者)ほどの強さになるという。
同保安部によると、県内の海水浴場では2012~21年、遊泳中の水難事故が22件発生。このうち離岸流による事故が10件あり、14、19年には浜中あさり海水浴場(19年を最後に閉鎖)で死亡事故が起きた。
20、21年夏は新型コロナウイルスの影響などで一部の海水浴場が開設されなかったが、今夏は全11か所で開設される。県による移動制限はかかっておらず、同保安部では多くの観光客が訪れるとみて、離岸流の実態を調査するとともに、注意喚起することにした。
調査は6月23日、同保安部や地元消防などが遊佐町吹浦の西浜海水浴場で、離岸流に詳しい長岡技術科学大(新潟県長岡市)の犬飼直之准教授の協力を得て実施。海上保安官が海中で「シーマーカー」と呼ばれる蛍光色の液体を流し、ドローン(小型無人機)で上空から液体の動きを観察した。
犬飼准教授の分析によると、この日の波の高さは0・2~0・3メートルと弱く、風もほとんどなかったが、約15分間で沖合に約80メートル流される幅3~4メートル、秒速約10センチの離岸流が観測された。犬飼准教授は「弱い波のときでも離岸流は発生し、沖に流される危険性がある。この海岸だけでなく、どこの海岸でも発生する」と指摘する。
同保安部は、離岸流に巻き込まれた場合の対応として、〈1〉落ち着く〈2〉陸に向かって泳がない〈3〉海岸と平行に泳いで離岸流から抜け出す――ことをポイントに挙げる。
同保安部の豊田洋士交通課長は「潮の流れは刻々と変化し、いつ離岸流が発生するか分からない。監視員の目が届くように、海水浴場の開設期間中にルールを守って遊泳区域内で楽しんでほしい」と呼びかけている。