安倍晋三元首相(67)が奈良市で演説中に銃撃されて死亡した事件で、無職の山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が「約1年前から銃を作るたび、山の中で試射をしていた」という趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で明らかになった。場所は奈良市南部の山中で、昼間帯に試し撃ちを繰り返していたことも判明した。
山上容疑者の自宅マンションからはさまざまな種類の手製銃が複数押収されており、奈良県警は銃撃計画を確実に実行するため殺傷力や精度を確認していたとみている。
捜査関係者によると、山上容疑者は2021年春ごろから銃の製造を始め、少なくとも6丁を完成させたとされる。「銃が完成するたびに何度も試射していた」と説明し、日中に市南部の山中へ出向いていたという。周辺には建設会社の資材置き場があるが、普段から人の出入りがほとんどない場所を選んだとみられる。
県警がこの一帯を捜索した結果、複数の木製の板(縦約90センチ、横約60センチ)やドラム缶が残されていた。弾が撃ち込まれたような痕が確認され、周辺では弾丸のようなものも発見された。
安倍氏への銃撃に使用された手製銃(長さ40センチ)は、銃身にあたる金属製の筒2本をビニールテープで固定し、1回引き金を引くと6発の弾丸を発射できる仕組みだった。現場から約90メートル先の立体駐車場の壁面に弾丸のようなものがめり込んでいた。山上容疑者は十分な殺傷力を把握した上でこの銃を選んだとみて、県警は構造の鑑定を進めている。
山上容疑者は宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」を名指しし、「母親の多額献金で家庭がめちゃくちゃになった。団体とともに、つながりがあると思った安倍氏も狙うようになった」と供述している。当初は団体最高幹部の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁を火炎瓶などで襲う計画も立てたが、21年春ごろには特定の対象を狙いやすい銃の製造に切り替えたとされる。【吉川雄飛、林みづき】