参院選では、奇をてらった政見放送が目についた。国会の品位に関わる問題であり、放置しておくべきではない。
NHK党の立花党首は東京選挙区の政見放送で、「テレビは権力者に都合の良い放送しかしない」と述べ、芸能人の醜聞を訴えた。諸派の中には、お面をかぶって演説する代表もいた。
与野党は2018年に公職選挙法を改正し、19年参院選から、選挙区選の候補者が事前に録画して持ち込んだ映像を、政見放送で流すことを可能にした。
映像に手話通訳や字幕を付けて効果的に伝える狙いがあったが、候補者側の裁量の余地が広がり、悪用されている面がある。
公選法は、放送局が政見を「そのまま放送しなければならない」と定める一方で、候補者などに対し、「品位を損なう言動をしてはならない」とも規定している。
だが、最近は他の国政選や知事選でも、悪ふざけのような政見が散見される。候補者が半裸になって動き回る、
卑猥
(ひわい)な言葉を連呼する、といった具合だ。話題を呼んで知名度を上げる狙いなのだろうが、非常識な内容は目に余る。
与野党は、政見放送のあり方を見直すべきだ。表現の自由を守ると同時に、節度を保てる仕組みを考えることが必要ではないか。有識者でつくる第三者機関が審査する案などが想定されよう。
本来、政見放送は、政党・政治団体や候補者が、テレビやラジオで政策を訴える場として設けられている。公共の電波を利用していることを自覚せねばならない。
動画投稿サイトで芸能人の秘密などを暴露し、注目を集めたNHK党の東谷義和氏は、比例選で当選したが、詐欺容疑で逮捕される可能性があるとして当面は帰国せず、海外生活を続けるという。
国外にとどまっていては、国会議員の責務は果たせまい。
近年、各党・団体は政策を浸透させるツールとして、インターネットを活用している。場所や時間を問わず、情報を発信できるという利点がある一方、ネットには政治家に対する
誹謗
(ひぼう)中傷や、フェイクニュースもあふれている。
有権者は、ネットには真偽の不明な情報があることを認識し、冷静に見極めることが大切だ。教育現場で、情報を見定める力を養う取り組みも進める必要がある。
欧州各国は、選挙に関する虚偽情報を問題視し、ツイッターなどSNSの事業者と協力して事実関係のチェックに力を入れている。日本でも検討に値しよう。