建物の屋根打ち破る破壊力も 火山噴火による被害とは?

火山が噴火すると、大きな噴石などによる被害が生じる場合があるので、警戒が必要だ。
気象庁によると、噴火に伴う災害は、大きな噴石のほか▽火砕流▽泥流▽溶岩流▽火山灰や小さな噴石、降灰後の土石流――がある。大きな噴石の場合、火口から20センチ以上の石が風の影響をほとんど受けずに弾道を描いて飛び散って、噴火から短時間で落下する。建物の屋根を打ち破るほどの破壊力があるので危険だ。
火砕流は、噴火により放出された破片状の物質と火山ガスなどが一体となって急速に山体を流れ落ちる現象だ。時速100キロ以上で、温度は数百度に達することがある。火山泥流では、噴出物と水が混じって地表を流れる。谷筋や沢沿いを伝って時速数十キロで遠くまで流れる恐れもある。溶岩流は溶けた岩石が地表を流れる現象で、比較的ゆっくり流れる。
1990年に発生した雲仙・普賢岳(長崎県)の噴火では、5年7カ月の間に降り積もった火山灰や岩石が38回の土石流をもたらし、火砕流は9432回に上った。
直径数センチの小さな噴石は、風の影響を受けて遠くまで飛ぶことがある。火口から放出される直径2ミリ未満の火山灰も風に乗って広範囲に飛び散り、農作物や交通機関などに影響を与える可能性がある。噴石や火山灰が積もった所では、土石流や泥流が発生しやすくなり、川の近くや谷の出口に近づくのは危ないという。
一方、噴火はその仕方によって「水蒸気噴火」「マグマ水蒸気噴火」「マグマ噴火」に分類される。水蒸気噴火は、地下水がマグマに熱せられて水蒸気となって噴き出し、爆発を伴う。戦後最悪の火山災害になった2014年の御嶽山(長野・岐阜県)噴火は、水蒸気噴火だった。
マグマ水蒸気噴火は、地下水がマグマに触れて大量の水蒸気が急激に発生することで起こり、大爆発を伴う。00年の有珠山(北海道)などの噴火が、このタイプだった。噴出物の中にマグマ由来の成分が含まれるのが特徴だ。マグマ噴火では、マグマが直接噴き出す。桜島(鹿児島県)などで見られる。