東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(78)が大会スポンサーの紳士服大手「AOKIホールディングス(HD)」側から資金提供を受けたとされる事件で、高橋元理事が東京地検特捜部の任意の事情聴取に応じ「理事としてAOKIHDを特別扱いしたことはない」などと供述していることが関係者への取材で判明した。受託収賄容疑を否定する趣旨とみられる。
関係者によると、高橋元理事が代表を務めるコンサルティング会社「コモンズ」(東京)は2017年秋、AOKIHD側とコンサルタント契約を結んだ。月100万円を基本に五輪閉幕までの約4年間で計約4500万円が元理事側に支払われたとされる。AOKIHDは18年10月、五輪のスポンサー企業の一つ「オフィシャルサポーター」となり、審判団の制服を製作したり、公式ライセンス商品の五輪エンブレム入りのスーツを販売したりした。
高橋元理事は特捜部に対し、「会社代表と理事の立場は分けていた。スポンサーの選定で便宜を図ったことはない」と供述。また、公式ライセンス商品の審査は組織委マーケティング局が担当していたが、元理事は「AOKIに限らず、あらゆる商品の審査が遅れていた。マーケティング局長に『何をもたもたやっているんだ』と言ったが、全体の進捗(しんちょく)を注意したもので、AOKIの審査を早める趣旨ではない」と説明したという。
組織委と企業のスポンサー契約は、高橋元理事の古巣の大手広告会社「電通」が実務を担った。また、組織委マーケティング局は電通からの出向者が多く、局長も電通出身者だった。特捜部は電通関係者の事情聴取も進めており、元理事がAOKIHDのスポンサー契約で何らかの影響力を行使していなかったか調べている。
また、特捜部は28日、横浜市都筑区にあるAOKIHD本社を家宅捜索した。贈賄容疑の関係先とみられる。26日には受託収賄容疑で高橋元理事の自宅、27日は贈賄容疑でAOKIHD創業者の青木拡憲(ひろのり)前会長(83)の自宅を捜索しており、3日連続の捜索となった。【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔】