袴田事件 検察側の法医学者が「血痕に赤み残る可能性ある」と反論

1966年に静岡市(旧静岡県清水市)で一家4人が刺殺された強盗殺人事件で死刑が確定し、2014年3月の静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌元被告(86)の再審請求差し戻し審で、検察側が請求した法医学者の証人尋問が1日、東京高裁(大善文男裁判長)であった。尋問は非公開。弁護側によると、法医学者は「血痕が1年以上みそ漬けされても赤みが残る可能性もある」などと述べ、争点となっている「犯行時の着衣」に付着した血痕の色の変化についておおむね検察側の主張に沿った証言をした。
確定判決によると、犯行時の着衣とされる5点の衣類は、袴田さんが逮捕された後、事件から1年2カ月後にみそタンク内から発見された。血痕には赤みが残っていたとされ、弁護側は再審請求審で「1年以上みそ漬けされた血痕は黒褐色に変わる。赤みが残っているのは証拠が捏造(ねつぞう)されたことを示している」と主張。検察側は「条件によっては赤みが残る」と反論している。
1日の尋問終了後に記者会見した弁護側によると、法医学者は「みそタンク内は酸素濃度が薄く、血痕の化学変化の速度が遅くなる。1年2カ月後でも赤みが残る可能性はある」という趣旨の説明をしたという。一方、弁護側が別の法医学者に依頼して高裁に提出した「血痕は黒褐色に変わる」とする鑑定書に対しては、有効な反論ができなかったとの見方を示した。【志村一也】