犬にチップ不正装着容疑でブリーダー追送検 被告「業界で横行」大阪

獣医師免許を持たずに犬の個体識別のためのマイクロチップを装着したとして、大阪府警生活環境課は2日、大阪府泉佐野市のブリーダー、井原渉被告(51)=偽造有印私文書行使罪で起訴=を獣医師法違反の疑いで追送検した。押収資料などの分析で約170回にわたり自身で埋め込んだ疑いが判明。府警は不正を繰り返していたとみている。
チップ装着は国家資格の獣医師と愛玩動物看護師に限られ、ブリーダーの不正が表面化するのは異例。
府警は井原被告にチップ237個を無届けで販売したとして、動物病院経営の知人男性(51)=和歌山県田辺市=も医薬品医療機器法違反容疑で書類送検した。2人とも検察に起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。
井原被告の送検容疑は2021年11~12月、柴犬(しばいぬ)やチワワなど7頭を香港に輸出する際、チップを不正に埋め込んだとされる。チップは直径約1~2ミリ、長さ約8~12ミリの円筒形で、専用器具を使って犬猫の首付近に埋め込む。費用は1回数千円とされる。
府警は井原被告の自宅などを家宅捜索し、チップ46点を押収。輸出時の提出資料などを分析し、20~21年に約170回装着した疑いが浮かんだ。井原被告は調べに「ブリーダー業界では経費負担を軽くするため、自分で購入したチップを打つことが横行している。方法は動画サイトで学んだ」と供述したという。
知人男性は井原被告の求めに応じて販売しており、「1個約500円で売っていたが、違法と知らなかった」と話しているという。
井原被告は21年6月、柴犬を輸出する際、獣医師がチップを装着したとする虚偽の証明書を動物検疫所に提出したとして逮捕、起訴されている。
チップ装着は、ペットが迷子になったり、捨てられたりした時に飼い主を特定しやすくするため、6月に動物愛護法で義務化された。15桁の識別番号が記録されており、「小さな名札」と言われ、犬猫の個体識別が可能になる。同法でブリーダーは獣医師が発行する証明書を添えてペットの情報を国に登録する。登録数は年間3万~4万頭と見込まれ、不正をどのようにチェックするかが課題となりそうだ。【小山美砂】